早産児の体位と無呼吸

レビューの論点:臨床的に明らかな無呼吸を伴う自発呼吸下の早産児において、ポジショニングは心肺パラメータ(心肺機能をあらわす値)に影響を与えるか?

背景:無呼吸とは、乳児の呼吸が短時間停止した後、正常な呼吸に戻る状態をいう。正期産の児では無呼吸症候群の発症はまれだが、妊娠期間が短くなるにつれて発生率が高くなる。無呼吸は、一般的に健康な早産児では正常な現象と考えられている。しかし、健康な状態でない早産児の酸素濃度を低下させる反復無呼吸の長期的な影響については、まだ分かっていない。また、どの程度の無呼吸を許容するかについては、ほとんど合意が得られていない。ポジショニングは、無呼吸を最小化または防止するための他の侵襲的な手段と比較して、簡単で実用的かつ効果的な介入であることが提案されている。そこで、このレビューでは、異なる体位が無呼吸を予防または緩和することができるかどうかを調べた。

研究の特性:レビュー執筆者は、医学文献を検索し、合計114人の乳児を対象とした5件の適格な試験を特定した。最新の検索(2016年11月)では、本レビューに含めるべき新しい研究は見つからなかった。レビューに含まれた研究では、無呼吸の早産児の呼吸において、仰臥位と伏臥位、伏臥位と右側臥位、伏臥位と左側臥位、右側臥位と左側臥位、伏臥位の水平姿勢と伏臥位の頭部挙上姿勢、右側臥位の水平姿勢と右側臥位の頭部挙上姿勢、左側臥位の水平姿勢と左側臥位の頭部挙上姿勢が、心肺機能に及ぼす影響を調べた。

主要な結果:包含された個々の研究やメタアナリシスでは、早産児の体位の違いによる心肺パラメータの違いは認められなかった。

エビデンスの質:全体的なエビデンスの質は、バイアスのリスクが高いかまたは不明で、サンプルサイズが小さいために結果が不正確であることから、低度~非常に低度だった。したがって、このレビューでは、無呼吸を伴う自発呼吸の早産児に対して、ある体位を他の体位よりも推奨することはできない。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、阪野正大 翻訳[2021.10.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004951.pub3》

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