本態性高血圧に対するヒドララジン

著者の結論: 

原発性高血圧の患者において、プラセボと比較して、ヒドララジンは血圧を低下させると思われる。しかし、このデータは前後研究に基づいており、RCTに基づいていない。さらに、臨床的アウトカムに対するヒドララジンの効果はなお不明である。

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背景: 

高血圧では脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全のリスクが高い。ヒドララジンは直接的に作用する血管拡張薬であり、1950年代から高血圧治療に用いられている。より許容できる耐容性を有する新しい降圧薬にほとんど取って代わられているものの、ヒドララジンは安価なため、発展途上国でなお広く用いられている。プラセボと比較したヒドララジンの代用アウトカムや臨床アウトカムに対する相対的有効性をレビューすることは正当化される。

目的: 

原発性高血圧の患者における総死亡率、心血管死亡率、重篤な有害事象、心筋梗塞、脳卒中、有害作用のための断薬、血圧に対するヒドララジンをプラセボと比較したランダム化比較試験(RCT)における効果を定量化する。

検索戦略: 

次のデータベースを検索した:Cochrane Central Register of Controlled Trials(2011年第3号)、MEDLINE(1948年~2011年8月)、International Pharmaceutical Abstracts(1970年~2009年6月)、 EMBASE(1980年~2011年8月)。検索した研究の文献目録引用もレビューした。言語制限は適用しなかった。

選択基準: 

原発性高血圧の患者を対象としてヒドララジン経口投与の効果をプラセボ経口投与と比較・検討したRCTを選択した。二次性高血圧あるいは妊娠性高血圧の患者を対象とした研究は除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し、バイアスのリスク・ツールを用いて試験の質を評価した。データの合成と解析は、RevMan 5を用いて行った。

主な結果: 

検索戦略では、本レビューの対象となるヒドララジンとプラセボを比較したランダム化比較試験は同定されなかった。死亡率、罹病率、有害作用のための断薬、重篤な有害事象、収縮期血圧、拡張期血圧に対するヒドララジンの効果をプラセボと比較した結論を導くにはエビデンスが不十分である。文献に報告されているヒドララジンに関係する有害作用の一部には反射性頻脈、溶血性貧血、血管炎、糸球体腎炎、ループス様症候群がある。

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