初期上皮性卵巣癌に対する補助(術後)化学療法

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著者の結論: 

プラチナ製剤ベースの補助化学療法は、初期(FIGO分類I/IIa)上皮性卵巣癌と評価された患者の大多数の生存の延長に有効である。しかし、高分化被包性一側性病変(病期1aグレード1)または総合的な病期Ib、高/中分化度(グレード1/2)病変の女性では、し控える方がよい。病期診断されていない初期疾患または低分化の腫瘍の患者では化学療法を行うべきである。至適病期分類が通常実施されない/得られない臨床的状況では、実用的なアプローチが必要である。そのような状況では、補助化学療法は被包性の病期Iaグレード1の漿液性癌と類内膜癌の女性ではし控え、初期癌の他の女性すべてには実施する方がよい。

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背景: 

毎年英国では4,500例が上皮性卵巣癌と診断され、そのうち1,700例が最終的に本疾患により死亡する。全症例中10~15%は治癒の可能性が十分にある早期に診断される。初期疾患の治療は、外科手術による切除であり、多くの場合その後化学療法を実施する。この補助療法に関する最大規模の臨床試験により、プラチナ製剤ベースの補助化学療法による全生存率(OS)の優位性が示されているが、異なる予後の女性からなるサブグループにおける本療法の正確な役割について確認する必要がある。

目的: 

初期上皮性卵巣癌における補助化学療法に関するエビデンスをシステマティックにレビューし、第1に、疾患再発治療のために化学療法を保留し手術後は観察するという方針より本療法が生存に対し優位であるかどうかを検討し、第2に、組織学的サブタイプまたは手術による病期分類の完全性に基づき異なる予後を示す臨床的サブグループは、最初の手術後の化学療法から多くの利益が得られるのか利益がほとんど得られないのか検討すること。

検索方法: 

Cochrane Gynaecological Cancer Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL 2011年第3号)、MEDLINE(1948~2011年8月第5週)およびEMBASE(1980~2011年第36週)を用いて電子的検索を実施した。フリーテキストおよびmedical subject headings(MESH)を用いる検索戦略を策定した。

選択基準: 

対象集団、介入、比較およびアウトカム指標に基づいて設定した選択基準を満たすランダム化臨床試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し試験の質を評価した。第3の著者と協議し不一致を解決した。ランダム効果メタアナリシスとサブグループ解析を実施した。

主な結果: 

1,277例の女性を対象にした5件のランダム化比較試験(RCT)が選択基準を満たし、追跡期間の中央値は46~121カ月であった。4件の試験をメタアナリシスに組み入れ、バイアスリスクは低いと判断した。3件の試験による5年間のデータのメタアナリシスによると、プラチナ製剤ベースの化学療法を受けた女性は受けなかった女性に比べて全生存率が良好であった[1,008例、ハザード比(HR)0.71、95%信頼区間(CI)0.53~0.93]。同様に、4件の試験による5年間のデータのメタアナリシスによると、補助化学療法を受けた女性の方が受けなかった女性に比べて無増悪生存期間(PFS)が良好であった(1,170例、HR 0.67、95%CI 0.53~0.84)。これらのメタアナリシスに組み入れた試験では、化学療法の効果について一貫した推定値を示した。さらに、これらの所見は経時的に頑健であった(10年PFS、2試験、925例、HR 0.67、95%CI 0.54~0.84)。 サブグループ解析により、当該疾患の至適な手術による病期分類の女性は、補助化学療法による利益を受ける可能性が低かった(OSに対するHR 1.22、95%CI 0.63~2.37、2試験、234例)のに対し、亜最適病期分類の女性は利益を受けた(OSに対するHR 0.63、95%CI 0.46~0.85、2試験、772例)と示唆された。1件の試験では、高リスク女性において補助化学療法による利益が示された(OSに対するHR 0.48、95%CI 0.32~0.72)が、低/中リスクの女性では示されなかった(OSに対するHR 0.95、95%CI 0.54~1.66)。しかし、これらのサブグループ所見は偶然によるものの可能性があり、解釈には注意を要する。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2012.7.24

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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