動脈瘤性クモ膜下出血および原発性脳内出血に対する副腎皮質ステロイド薬

著者の結論: 

全体として、SAHまたはPICHの患者におけるステロイド薬の有益作用または有害作用を示すエビデンスは認められない。信頼区間が広く、臨床的に意味のある効果が両方向にまたがっている。

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背景: 

副腎皮質ステロイド薬、特にデキサメサゾンは、エビデンスがないにもかかわらず、クモ膜下出血(SAH)および原発性脳内出血(PICH)の患者の治療によく使用されている。

目的: 

(1)ステロイド薬療法がSAHまたはPICH発症後1~6ヵ月の時点で死亡または不良アウトカムの患者の割合を減少させるかどうか判断すること、(2)ステロイド薬療法がSAH患者の遅発性脳虚血(DCI)の頻度を減少させるかどうか判断すること、(3)発症から6ヵ月以内のSAHまたはPICH患者におけるステロイド薬療法の有害作用の頻度を判断すること。

検索戦略: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(2003年11月最終検索)を検索した。このほかに、MEDLINE(1966~2004年3月)およびEMBASE(1980~2004年3月)を検索し、同定した関連する研究の参照文献リストを検索した。試験実施者および製薬会社に問い合わせ、関連する進行中の発表済みまたは未発表研究を同定するよう努めた。

選択基準: 

SAHまたはPICH患者を対象に、プラセボまたは標準治療戦略をコントロール群としてステロイド薬を検討したあらゆるランダム化または準ランダム化臨床試験。臨床的に(ベッドサイドで)PICHと診断された患者と脳脊髄液診断からSAHが立証された患者を、年齢および性別を問わず分析に組み入れた。コンピュータ断層撮影(CT)/磁気共鳴画像(MRI)/剖検/血管造影で立証された患者のデータを別々に分析したほか、総合的分析も行った。

データ収集と分析: 

適格な臨床試験から次のデータを抽出した。(1)事象発症後1~6ヵ月以内の死亡および不良アウトカム(死亡、重度の動作障害または植物状態)(主要アウトカム)、(2)SAH患者の遅発性脳虚血の発現(試験実施者の定義による)、(3)予定した治療期間または追跡期間に発生した治療の有害作用(副次的アウトカム)。統合した効果サイズの推定値を算出し、Cochrane Collaboration's Review Managerソフトウェア、RevMan 4.2を用いて試験結果間の異質性検定を行った。可能な場合は、ITT解析を行った。

主な結果: 

適格性基準に適合した8件の試験を同定した。そのうち3件のSAH試験のランダム化患者は総数256名であり、5件のPICH試験では206名であった。対象集団、被験薬および試験方法の質は、研究ごとにかなり異なっていた。SAH患者のうちヒドロコルチゾンまたは酢酸フルドロコルチゾン治療のいずれかに割付けられた患者の数、もしくはPICH患者のうちデキサメサゾン治療に割付けられた患者の数は少なく、決定的な結論を導くに至らなかった(アウトカム推定値はいずれも信頼区間が広かった)。

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