喘息の重度急性増悪による呼吸不全の治療での非侵襲性陽圧換気

非侵襲性陽圧換気(NPPV)は、疲労した呼吸筋を休ませて急性呼吸状態での呼吸を強化します。この方法は短期間、間欠的に使用可能で、重度の急性喘息患者が経験する呼吸の問題を解決するには十分と思われます。重度急性喘息患者に対するNPPVの有効性判断のため、本レビューを実施しました。6件のランダム化比較試験を本レビューに組み入れました。通常医療の単独実施に比べ、NPPVでは入院回数が減少し、救急科退院患者数が増加、呼吸数および肺機能測定結果が改善されました。予備結果の一部は期待できるものですが、喘息患者に対するNPPVの適用には依然として異論が残っています。重度の急性喘息、特に喘息重積状態の管理におけるNPPVの効果を判断するにはさらなる試験実施が必要です。

著者の結論: 

本試験レビューでは喘息重積状態患者に対するNPPV実施を裏づけるデータの不足が目立った。このように本投与コースは、現在臨床診療で継続的に使用されているにもかかわらず異論がある。喘息患者におけるNPPVの役割を判断するには、より頑健な方法的デザインを用いたさらに大規模な前向きRCTの実施が必要である。

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背景: 

喘息は、炎症および気道変化を引き起こす慢性呼吸器疾患である。喘息患者の治療には、一次治療から三次治療に至るルーチンおよび緊急の管理が含まれるが、準至適な長期医療および急性増悪での補助遅延のため、喘息関連の死亡率および罹患率は依然として健康に関する重大な懸念となっている。重度の急性喘息患者にとって、非侵襲性陽圧換気(NPPV)は有益になりうると考える根拠は存在するが、NPPVの有効性に関するエビデンスは、臨床診療で一般的に使用されているにもかかわらず明らかにされていない。

目的: 

重度の急性喘息成人患者に対するNPPVの有効性を通常の医療と比較し、死亡率、気管挿管、血液ガスの変化および入院期間などの点から判断する。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trials(2012年7月)を検索した。その後、試験追加のため組み入れた試験の参考文献およびレビュー論文を検索した(2012年7月)。

選択基準: 

救急科来院または入院の主な理由が重度の急性喘息である成人患者対象のランダム化比較試験(RCT)を組み入れた。喘息の診断は、国際的に許容されている基準に従った。重度の急性喘息管理の通常医療に鼻のマスクまたはフェイスマスクによるNPPVを適用する介入を、通常の医療単独と比較している試験を組み入れ対象とした。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特性を示す患者を含む試験は、COPD患者および喘息患者の両方を対象とする試験で喘息患者のデータを区別して提供する場合を除き、除外した。

データ収集と分析: 

レビューア2名が組み、別々に試験の質を評価しデータを抽出した。必要に応じ、追加情報について著者と連絡をとった。全データをRevMan 5.1版を用いて分析した。連続変数については平均差および95%信頼区間を用い、二値データについてはリスク比および95%信頼区間を用いて算定した。

主な結果: 

6件の試験を組み入れ対象として同定した。参加者206名を含む5件の試験からデータを入手したが、抄録のみ得た1件の試験は全体を本レビューに組み入れることはできなかった。主要アウトカムである気管内挿管について、2件の試験からデータを入手し、NPPVでは参加者45名中挿管を必要とする例が2例あり、対照患者41名は挿管を必要としなかった(リスク比4.48、95%CI 0.23~89.13)。上記試験のいずれも死亡例はなかった。メタアナリシスは実施不可能であったが、2件の試験で入院期間の報告があった。1件の小規模試験で入院の報告があり、NPPVで17名中入院例が3例、対照患者で16名中入院例が10例あった(RR 0.28、95%CI 0.09~0.84)。

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