骨盤位に対する灸による頭位回転

灸は鍼療法あるいは側臥位での胸膝位または臀部挙上をとる体位療法と併用した場合、骨盤位(臀部が先進)から頭位(頭部が先進)に胎児を回転させるのに有用であるというエビデンスがいくつか認められている。 骨盤位は妊娠第2期に多くみられるが、大半は分娩開始前に自身で回転するが、回転しない胎児もみられる。臀部が先進している胎児は、出生が困難で母体に外傷が起こりうる。経腟分娩が予定されるべきであるが、帝王切開が適応となることもある。灸は中医学の一種で骨盤位の胎児の回転に有用である可能性があり、足小指の経穴の皮膚の近くで薬草を燃やし温感を生じさせて用いる。本レビューでは1,346名の女性を対象とした8件のRCTを認めた。ランダムに灸に割り付けられた女性は、28週時から37週時の間に、連日から週2回の治療を受けた。1件の試験では、治療関連有害事象として、不快な臭い(咽頭刺激を伴う、あるいは伴わない)、悪心、子宮収縮による腹痛などが挙げられた。選択した試験の方法論的質は中等度で、数件の研究ではサンプル・サイズは小さく、治療法は異なっており、報告は限定的であった。結果を統合したが、選択した研究に異質性があることから慎重に解釈する必要がある。灸の利益および安全性に関してさらなるエビデンスが必要である。

著者の結論: 

骨盤位修正を目的とした灸の使用を支持する、限定的なエビデンスが本レビューでは認められた。灸の使用によりオキシトシンの必要性が減少すると示唆する若干のエビデンスが認められた。鍼療法と併用した場合は、灸により帝王切開による出生が少なくなり、体位管理と併用した場合は出生時の骨盤位数が減少する可能性があるが、骨盤位に対する灸を評価し、臨床的に関連性のあるアウトカムおよび介入の安全性について報告する、適切なデザインのランダム化比較試験(RCT)が必要である。

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背景: 

第5足趾尖端に位置する経穴Bladder 67(BL67)(中国名、至陰:Zhiyin)への灸(皮膚の直近で薬草を焼く中医学の一種)は、骨盤位を修正する方法として提案されてきた。

目的: 

骨盤位の胎児の胎位の変更、外回転術(ECV)の必要性、出生様式、骨盤位での周産期罹病率と死亡率に対する灸の有効性および安全性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年3月26日)、MEDLINE(1966~2011年8月1日)、EMBASE(1980~2011年8月)、CINAHL(1982~2011年8月1日)、MIDIRS(1982~2011年8月1日)、AMED(1985~2011年8月1日)、および関連性のある論文の文献を検索した。

選択基準: 

単胎骨盤位妊娠の女性を対象に、灸(単独あるいは鍼療法か体位療法との併用)をコントロール群(灸なし)または他の方法(外回転術、鍼療法、体位療法など)と比較している発表・未発表のランダム化比較試験(RCT)を選択基準とした。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に試験の適格性および質を評価し、データを抽出した。アウトカム指標は、出生時胎位、外回転術の必要性、出生様式、周産期罹病率・死亡率、母体合併症・母体満足度、有害事象であった。

主な結果: 

本更新レビューに新たな6件の試験が追加された。1件の試験は、さらなるデータを要求している間、分類待ち研究の区分に移された。本更新レビューでは、計8件の試験(女性1,346名対象)を選択した。メタアナリシスを(可能であれば)主要アウトカムおよび副次アウトカムについて実施した。灸は、無治療に比べて出生時の骨盤位数を減少させないという所見が得られた(P=0.45)。灸は無治療に比べて、経腟分娩女性の分娩前または分娩中のオキシトシンの使用を減少させた[リスク比(RR)0.28、95%信頼区間(CI)0.13~0.60]。灸では鍼療法に比べて、出生時の骨盤位数が少なかったという所見が得られた(RR0.25、95%CI0.09~0.72)。鍼療法と併用した場合、灸では無治療に比べて出生時の骨盤位数が少なく(RR0.73、95%CI0.57~0.94)、帝王切開による出生数が少なかった(RR0.79、95%CI0.64~0.98)。体位療法を併用した場合、灸では体位療法単独に比べて出生時の骨盤位数が少ないという所見が得られた(RR0.26、95%CI0.12~0.56)。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.9.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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