耳鳴りに対するイチョウ

耳鳴りが認められる人は、外部からの雑音がない状態であってもパチパチ音やヒューヒュー音などが聞こえる。音は耳や頭の中で発生し、常時聞こえる場合と断続的にのみ聞こえる場合がある。耳鳴りの原因はまだ完全には解明されておらず、薬物、心理療法、ノイズ「マスカー」、耳鳴り順応療法などさまざまな治療法が提案されている。この試験のレビューでは、イチョウ抽出物の有効性を評価した。良質の試験はほとんど存在しなかった。このレビューでは、計1543人が参加した4件の研究を対象とした。対象試験は全体的にバイアスのリスクが低かった。主症状が耳鳴りの場合にイチョウが有効であるというエビデンスは得られなかった。

著者の結論: 

限られたエビデンスからは、耳鳴りを主訴とする場合のイチョウの有効性は示されていない。

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背景: 

本レビューは、コクラン・ライブラリ2004年第2号に初版が掲載され、2007年および2009年に改訂されたコクラン・レビューの改訂版である。

耳鳴りとは、外部からの聴覚刺激が存在しない状態で音を知覚することである。現在では、すべての患者に十分な効果を有する耳鳴りに対する特定の治療法は知られていない。イチョウ(Ginkgo biloba)が耳鳴りの治療に有効である可能性を示唆する文献報告がいくつか存在する。 一方で、耳鳴りの治療に対する強力なプラセボ効果も有していると考えられる。

目的: 

耳鳴りを呈する患者を対象に、イチョウの効果を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Ear、Nose and Throat Disorders Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、PubMed、EMBASE、AMED、Web of Science、BIOSIS Previews、Cambridge Scientific Abstracts、ICTRPに加えて、その他の既報および未発表の試験を検索した。直近の検索日は2012年3月12日であった。

選択基準: 

耳鳴りを訴える成人(18歳以上)または脳循環不全を主訴とし、症候群の一部として耳鳴りを呈する成人。

データ収集と分析: 

両名の原著者が独立してデータを抽出し、試験の質を評価した。2012年の改訂では、2名の著者が試験の適格性を判断し、データを抽出・分析し、レビューの内容を更新した。

主な結果: 

本レビューでは、1543例が参加した4件の試験を対象とした。バイアスのリスクはすべての対象試験において低かった。3件の試験(参加者1143例)では耳鳴りを主訴とする患者を対象とし、1件(参加者400例)の試験では一部の患者が耳鳴りを呈する軽度から中等度の認知症患者を対象とした。

耳鳴りを主訴とする患者にイチョウが有効であるというエビデンスは得られなかった。認知症患者を対象とした研究では、ベースライン時の耳鳴りの評価尺度の平均値は低かった(10ポイント主観的症状評価尺度で1.7〜2.5)。血管性認知症およびアルツハイマー病の患者がイチョウを摂取した場合、わずかではあるが統計学的に有意な減少が認められた(それぞれ1.5ポイントおよび0.7ポイント)。本知見の実際的な臨床上の有意性は不明である。副作用の発症率は低かった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.29]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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