進行前立腺癌に対する即時ホルモン療法と遅延ホルモン療法の比較

レビューの論点
進行前立腺癌患者には、男性ホルモン値を下げるホルモン療法が行われる。この治療で癌が治ることはないが、癌の増殖を妨げることによって、患者の延命につなげることができる。しかし、ホルモン療法の開始は早い時期と遅い時期のどちらがよいのか、X線撮影や検査結果で癌の増殖が確認された時なのか、それとも前立腺癌による症状が現れた時なのかは明らかではない。治療開始時期が早い場合と遅い場合を比較するために本レビューを行なった。

背景
前立腺癌は、癌が前立腺内にとどまっていれば治すことができる。このような患者は、放射線治療あるいは前立腺を切除する手術を受けることができる。癌がリンパ節や骨など前立腺外にまで広がっている場合は、治すことはできない。男性ホルモン値を下げるホルモン療法は、癌の増殖の勢いを抑え、問題(症状)が引き起こされるのを防ぐことができる。この治療の開始時期は、診断された直後(即時)、X線撮影または検査結果で癌の増殖が認められた時(遅延)、あるいは問題(症状)が起き始めた時(同じく遅延)のいずれかになる。

試験の特性

前立腺癌患者がホルモン療法を受けた時期が即時なのか遅延なのかが偶然に決まった試験のみを検討した。

主要な結果
本論点に一致する試験10件を特定した。早期ホルモン療法は、何らかの原因で死亡するリスクを低下させる可能性が高いことがわかった。望ましくない重篤な結果が起こるリスクは、遅延ホルモン療法の場合と同等の可能性がある。

早期ホルモン療法は、前立腺癌による死亡リスクを低下させる可能性が高く、癌の骨への広がりに関連した問題(症状)が起こるリスクをわずかに低下させる。

早期ホルモン療法を受けた患者のほうが疲れやすく、また心臓が弱くなりやすい可能性がある。

早期ホルモン療法による全体的なQOL(生活の質)への影響はおそらくない(か、あってもわずかな影響のみである)。

エビデンスの確実性は中等度か低いかのいずれかである。中等度であれば、真の結果は本結果に近い可能性が高く、低い場合の懸念は、真の結果が本結果とかなり異なる可能性があるということである。

訳注: 

《実施組織》一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)『海外癌医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/)田村克代 翻訳、榎本裕(三井記念病院、泌尿器科)監訳 [2019.07.30] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン・ジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD003506》

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