自閉症スペクトラム障害に対するグルテンおよびカゼイン除去食

グルテンやカゼインのペプチドは自閉症の原因となる可能性が示唆されており、自閉症に関する生理学や心理学ではこれらのペプチドと関連がある過剰なオピオイド活性によるものと説明されている。

広範囲にわたる文献を検索し、自閉症患者における行動的・認知的・社会的機能の向上を目的とする介入として、グルテンやカゼイン除去食について調べたランダム化比較試験を同定した。2件のランダム化比較試験について報告した3報の論文のみを同定した。2件の小規模試験のうち最初の試験では各群の参加者が10例で、2件目の試験では15例の参加者を募集していた。最初の研究の結果ではグルテンおよびカゼインの除去食が自閉症特性を低下させることを示唆しており、2件目の研究では除去食群とコントロール群のアウトカム指標に有意差はみられなかった。これは重要な研究領域であり、大規模かつ良質なランダム化比較試験が求められる。有害なアウトカムや不利益の可能性について報告した研究はなかった。

自閉症児に対する除去食などの補完代替療法(CAM)が、両親によって広く用いられていることを示すエビデンスがある。しかし、自閉症の人に対する有効な介入としてグルテン・カゼイン除去食の使用を裏づけるエビデンスは不足している。また、除去食の有害性や不利益の可能性に関する研究が不足している。除去食を完全に維持するのは困難だが、これらの課題に取り組むためのランダム化比較試験は実施可能である。また、この領域では、より十分な検出力のある試験が必要である。

著者の結論: 

自閉症児ではグルテン・カゼイン除去食などの補完代替療法(CAM)の使用率が高いことが、研究により示された。これらの食事の有効性について、現在のエビデンスは不十分である。大規模かつ良質なランダム化比較試験が求められる。

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背景: 

グルテンやカゼインのペプチドは自閉症の原因となる可能性が示唆されており、自閉症に関する生理学や心理学ではこれらのペプチドと関連がある過剰なオピオイド活性によるものと説明されている。研究により、自閉症の人では尿や脳脊髄液のペプチドの異常値が報告されている。

目的: 

自閉症患者における行動的・認知的・社会的機能の向上を目的とする介入として、グルテンやカゼイン除去食の有効性を評価すること。

検索方法: 

以下の電子データベースを検索した。CENTRAL(コクラン・ライブラリ、2007年第2号)、MEDLINE(1966年~2007年4月)、PsycINFO(1971年~2007年4月)、EMBASE(1974年~2007年4月)、CINAHL(1982年~2007年4月)、ERIC(1965年~2007年)、LILACS (1982年~2007年4月)、National Research register(2007年第1号)。また、総説の文献リストを調べ、選択する可能性のある試験を同定した。

選択基準: 

自閉症スペクトラム障害と診断された患者を対象に、グルテン、カゼイン、または両方を除去した食事プログラムを実施したあらゆるランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ電子データベースの検索で同定した研究のアブストラクトを評価し、選択について決定した。選択した試験のアウトカム指標が共通ではないため、メタアナリシスは実施できなかった。データは記述的に示した。

主な結果: 

2件の小規模なRCTを同定した(n=35)。メタアナリシスは実施できなかった。食事介入を支持する有意な治療効果は、以下の3点のみであった。全般的な自閉症特性:平均差(MD) = -5.60(95% CI -9.02 ~ -2.18)、z = 3.21、p=0.001 (Knivsberg 2002)。社会的孤立:MD = -3.20 (95% CI -5.20 ~ 1.20)、z = 3.14、p = 0.002。コミュニケーションや交流の全般的な能力:MD = 1.70(95% CI 0.50 ~ 2.90)、 z = 2.77、p = 0.006(Knivsberg 2003)。さらに3つのアウトカムについて、治療群とコントロール群に有意差はなかった。データが偏っていたため、10のアウトカムに関する平均差を算出できなかった。有害性などの不利益が報告されたアウトカムはなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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