自閉症スペクトラム障害の小児に対するビタミンB6とマグネシウムの併用療法

ビタミンB6が自閉症スペクトラム障害の小児の行動を改善する効果について調べた研究が、30年以上にわたり報告されている。本レビューの目的は、これらの研究を要約し、治療介入としてのビタミンB6の有効性を解析することである。本レビューの選択基準を満たしたのは3件の研究のみであり、そのうち1件だけが解析に十分なデータを報告していた。これらの結果は決定的でなく、サンプル・サイズが小規模であった。したがって、自閉症患者の行動改善を目的としたビタミンB6の使用について、現時点では支持できない。今後の研究には、より大規模で適切なデザインの試験が必要である。

著者の結論: 

研究数が少なくサンプル・サイズが小さいことや、研究の方法論的な質により、自閉症の治療におけるB6-Mgの使用を推奨することはできない。

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背景: 

統合失調症患者の治療として、ビタミンの大量投与による介入が1950年代に開始された。Pyroxidine (ビタミンB6)は、まず「自閉症」と診断された小児に使用され、ビタミンB6の大量投与により、複数の小児で発話や言語能力の改善が認められた。ビタミンB6とマグネシウム(Mg)を併用する効果について評価した多くの研究により、自閉症患者の言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、対人能力、生理的機能などに及ぼすビタミンB6の好ましくない副作用が減少することが明らかになった。

目的: 

自閉症の小児や成人に対する社会性、コミュニケーション、および行動反応の治療において、ビタミンB6とマグネシウムの併用(B6-Mg)の有効性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Controlled Trials Register(コクラン・ライブラリ、2005年第1号)、MEDLINE(1966年~2005年4月)、EMBASE(1980年~2005年4月)、PsycINFO(1887年~2005年4月)、Dissertation Abstracts International(1861年~2005年4月)を検索した。また、サーチエンジンにはFirstSearchを使用した(2005年4月)。得られたすべての研究や総説の文献リストから、さらに研究を探した。

選択基準: 

自閉症スペクトラム障害と診断された参加者を介入前にランダムに割付け、アウトカムについてプラセボまたは非投与群と比較したあらゆる試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが、同定したすべての研究からそれぞれデータを評価・抽出した。

主な結果: 

2005年の更新では新たに1件の試験(Kuriyama 2002)を加え、選択した研究の合計は3件となった(合計 n=33)。クロスオーバーデザインを用いた1件の研究(Tolbert 1993)は、解析を実施するのにデータが不十分であった。もう1件のクロスオーバー研究(Findling 1997)では、B6による介入後の社会的交流、コミュニケーション、強迫性、衝動性、多動性に関する指標について、治療群とプラセボ群の能力に有意はみられなかった。最新の研究(Kuriyama 2002)はてんかん研究のエビデンスに基づいて実施されており、pyroxidine 依存性てんかんの小児と類似する臨床的特徴がみられる広汎性発達障害(PDD)の小児サブグループを対象としていた。この小規模研究(n=8)ではIQと「社会性指数」のみを測定し、IQについては得点の変化により、治療群で統計学的に有意な利益が認められた(5.2、95% CI = [0.2 ~ 10.3])。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.17]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD003497 Pub2

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