早産児の呼吸窮迫に対する持続的気道陽圧(CPAP)の早期開始と、遅い時期の開始の比較

レビューの論点

早産児の呼吸困難に対して、持続的気道陽圧(CPAP)を早期に適用することで、後から適用した場合に比べて有益性が増し、害が少なくなるかどうかを調べた。

背景

早産児は、肺で生成されるサーファクタント(界面活性物質)が不足していることが多い。サーファクタントが不足していると、出生時に肺が適切に拡張できず、呼吸するのに大きな力が必要になる。放置しておくと呼吸困難が徐々に悪化し、肺障害につながることもある。CPAP は肺の膨張を改善し、赤ちゃんの呼吸を容易にし、間欠的陽圧換気 (IPPV) の必要性を減らすかもしれず、気管支肺異形成 (BDP) と呼ばれるより大きな肺損傷につながるリスクを回避できる可能性がある。また、CPAPを使用することで、呼吸困難から赤ちゃんが亡くなるリスクを減らすことができるかもしれない。CPAPは、フェイスマスクや鼻マスク、突起の付いたプロングを鼻孔に装着して行われる。

研究の特性

検索は2020年7月時点のものである。合計119人の赤ちゃんを含んだ4つの小さな研究を見つけた。4つの研究はいずれも、出産前のステロイド(早産児の肺がより成熟するのを助けるために母親に投与される)使用が珍しかった1970年代または1980年代前半に実施された。

主な結果

この4つの小さな研究からは、初期のCPAPが有益なのか、それとも害をもたらすのか、非常に不確かなものとなっている。

エビデンスの確実性

対象となった4つの研究はいずれも実施方法に弱点があり、いずれも非常に小規模なものであった。また、古い研究であったため、現在の早産児ケアには当てはまらないかもしれない。今回、エビデンスについては、確実性が非常に低い、または低いと判定した。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、冨成麻帆 翻訳 [2021.03.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《 CD002975.pub2》

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