分娩誘発に対する鍼治療・指圧療法

論点

分娩誘発は妊娠が継続せずに児が生まれる場合に、母またはその児にとってよいと判断された際の妊娠女性に対し推奨される。分娩誘発の一般的な理由は、妊娠が予定日を超えた場合、予定日前または分娩前に破水が起こった場合、妊娠高血圧腎症または児の発育不全など、母子の健康に問題があった場合などである。分娩誘発の際に従来の医学的療法(通常医療)と一緒に補完療法に関心を向ける女性もいる。鍼治療は体の特定の経穴(ツボ)に細い鍼を刺入するが、一方指圧療法は拇指や指を用いて特定のツボに圧を加える。これらは、陣痛が始まった際に子宮頚管を緩め、拡張を助けるために用いられている。またこれらにより、陣痛が軽減し、プロスタグランジン製剤など他の促進剤を用いないですむ場合がある。

重要である理由

促進剤は重大な副作用を引き起こす可能性がある。多くの女性はそれゆえ、分娩の際に補完療法または代替療法を選択する。多くの助産師が通常のケアと併用して鍼治療を行い、初期の研究では鍼治療の利益が示唆されている。

得られたエビデンス

2016年10月に、鍼治療効果と安全性に関するランダム化比較試験のエビデンスを調査した。2013年の最後に更新された最新版以来、私たちはレビューに適格で新たに追加された8件の試験を同定した。合計3456例の妊婦の報告をした22件の試験を見出した。著者はほとんどの試験に中程度のバイアスのリスクがあると評価した。

中程度の質~高度の質のエビデンスによると、鍼治療および指圧療法は、帝王切開の件数を減らさなかった。

頸管の状態に注目した2件の試験(女性192例)では、鍼治療は24時間以内に頸管をより好ましい状態にする可能性がある。1件の試験のみ、母または児の重篤なアウトカムを報告し、重篤な事象は鍼治療または対照群どちらもみられなかった(質の低いエビデンス)。

意味するもの

治療および指圧療法は帝王切開の必要性を低減させることはないようだが、分娩に向けた頸管の準備を進める可能性がある。指圧は、本レビューで評価したどのアウトカムにも寄与しなかった。試験では鍼治療と指圧療法を用いる分娩、比較群、アウトカムの観点が異なっていた。これらのバラツキは、本知見をどう理解するかを慎重に検討する必要があることを意味する。鍼治療または指圧療法が24時間以内の経腟分娩を経験する女性数を増加するかを評価するために、また鍼治療および指圧療法の安全性に関して、さらに試験を行う必要がある。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD002962.pub4】

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