急性膵炎に対する経腸栄養と静脈栄養との比較

著者の結論: 

急性膵炎患者に対する経腸栄養は、TPNを受けた患者と比較して、死亡率、多臓器不全、全身感染、手術的介入の必要性を有意に減少させた。加えて、在院日数の短縮傾向がみられた。これらのデータは、栄養補助を必要とする急性膵炎の患者にはENを標準的なケアとして考慮すべきであると示唆している。

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背景: 

急性膵炎は異化作用ストレス状態をもたらし、それによって全身性炎症反応および栄養状態の悪化を促進させる。栄養物の適切な供給は、回復に重要な役割を果たしている。完全静脈栄養(TPN)は重度の急性膵炎患者に外因性栄養物を提供させるための標準的な治療法である。しかし、最近のデータから、経腸栄養(EN)は実施可能であるあるばかりでなく、さらに安全で有効であることが示唆されている。そのため、エビデンスのレベルを再評価するために、システマティック・レビューの更新を試みた。

目的: 

急性膵炎の患者を対象に死亡率、罹病率、在院日数に対するTPNの効果をENの効果と比較する。

検索方法: 

Cochrane Controlled Trials Register、MEDLINE、およびEMBASEをコンピュータ検索して試験を同定した。Scisearch、レビュー論文および同定した試験の参考文献を検索し、追加の研究を同定した。検索は2000年8月に行い、2002年9月、2003年10月、2004年11月、2008年11月に更新した。言語に制約を設けなかった。

選択基準: 

急性膵炎患者を対象にTPNをENと比較しているランダム化臨床試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自にデータを抽出し、試験の質を評価した。標準化した様式を用いて関連性のあるデータを抽出した。

主な結果: 

計348例の参加者を対象とした8件の試験を含めた。急性膵炎に対するENとTPNの効果を比較した結果、死亡の相対リスク(RR)は0.50(95%CI 0.28~0.91)、多臓器不全(MOF)のRRは0.55(95%CI 0.37~0.81)、全身感染のRRは0.39(95%CI 0.23~0.65)、手術的介入のRRは0.44(95%CI 0.29~0.67)、敗血症性局所合併症のRRは0.74(95%CI 0.40~1.35)、その他の局所合併症のRRは0.70(95%CI 0.43~1.13)であった。EN群の平均在院日数はTPN群よりも2.37日短かった(95%CI -7.18~2.44)。さらに、重度急性膵炎の患者を対象にENとTPNを比較したサブグループ解析では、死亡のRRは0.18(95%CI 0.06~0.58)、MOFのRRは0.46であった(95%CI 0.16~1.29)。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2010.4.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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