統合失調症の標準治療に心理教育を追加すると再発が減少する

患者の教育(心理教育)の目的は、患者自身の病気と治療に関する知識を増やし、理解を深めることである。統合失調症を持つ人々は、知識を増やすことで自分の病気により効果的に対処できるようになると考えられる。心理教育的介入は、情報提供者と精神疾患を持つ人との相互のやり取りを含んでいる。このレビューでは、重度精神疾患を持つ人を支援する方法として、標準的ケアに追加して行う心理教育の効果を、標準的ケアのみの場合と比較している。エビデンスは再発率または再入院率の大幅な低下を示していた。心理教育によって服薬コンプライアンスが改善される可能性も示唆されているようだが、どの程度改善されるのかは不明である。結果は、心理教育がその人のウェルビーイングに良い影響を与え、社会的機能を向上させる可能性があると示していた。中期的に見て、統合失調症患者4人に対して標準的ケアの代わりに心理教育を行って治療すると、臨床的な改善を示す患者が1人増える結果となった。研究が少ないために、異なる形式間(プログラムが10セッション以下か11セッション以上か、個人セッションかグループセッションか)の効果の違いははっきりしなかった。

訳注: 

《実施組織》 五十嵐百花 翻訳, 佐藤さやか 監訳 [2020.9.18] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD002831.pub2》

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