冠動脈疾患に対する運動を中心としたリハビリテーション

背景

冠動脈疾患(CHD)は、世界的に最も一般的な死因の一つである。しかし、冠動脈疾患による死亡率の減少に伴い、冠動脈疾患を抱えながら生活する人たちの数が増えており、症状の管理や心臓発作などをこの先に起こさないためにサポートを行う必要があるかもしれない。運動を中心とした心臓リハビリテーションは、冠動脈疾患をもつ人たちの健康状態(死亡率など)と各評価項目(手術の有無など)を改善する目的で行われる。

研究の特徴

我々は、冠動脈疾患をもつ全ての年代の人たちに対し、運動をしない場合と比較した運動を中心としたリハビリテーションの効果についてのランダム化比較対照試験(参加者が2つ以上の治療グループのうちのいずれか1つにランダムに分けられる試験)の論文を検索した。検索日は2014年の6月である。

主要な結果
今回の最新の更新版は、16件の研究(3872名の参加者)を追加で採用した。我々は合計で14486名の冠動脈疾患をもつ方々を含む63件の研究を採用し、その参加者は主に過去に心臓発作を起こしたことがあったり、心臓バイパス手術や血管形成術(狭くなったり詰まったりした動脈や静脈を広げる手術)を受けていた。今回の更新版の結果は、前回(2011年)のコクランレビューの結果と一致していて、運動をしない場合と比較して、運動を中心とした心臓リハビリテーションを行うと心血管疾患での死亡及び入院する危険性の減少や健康関連QOL(訳注:病気が生活や仕事に与える影響を定量化したもの)の改善を含む重要な利点があることを示している。健康関連QOLの結果は、研究によってかなりばらついていた。運動を中心とした心臓リハビリテーションの費用対効果が高いという経済的なエビデンスがいくつかあった。危険度の高い冠動脈疾患をもつ人たちや確定した狭心症(胸痛)の方への運動トレーニングの効果について明らかにするためにさらなる研究が必要である。

エビデンスの質
最近の研究は方法についての報告が改善されていたが、報告が不十分だったので全体的な方法論の質やエビデンスに関わるバイアス(訳注:研究データの偏り)の可能性の評価が困難であった。

訳注: 

《実施組織》菊井将太(A small circle of shrimps)迫田季也 翻訳、2020.11.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001800.pub3》

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