会陰切開または第2度会陰裂傷の修復に対する連続縫合法および結節縫合法

出産後の会陰修復に連続縫合を用いた場合、吸収糸の結節縫合より痛みが少なくなる。

女性が出産する際、会陰(腟開口部と肛門の間)が時々裂けることがあり、また、出産を促進し腟開口部の大きさを広げるため会陰切開(外科的切開)を行う必要がある。会陰切開および裂傷において、筋層の縫合が必要になる(第2度会陰裂傷)場合がある。世界で何百万の女性が出産後に会陰縫合を受け、縫合の種類が疼痛、不快感または治癒に影響を及ぼす可能性がある。経腟分娩後、1日に会陰縫合を受ける女性は、英国だけで約1,000名、世界では何百万人の女性にものぼる。助産師または医師が会陰切開または第2度会陰裂傷の縫合を行い、腟、会陰筋および皮膚の3層を縫合する。従来、腟は連続的に結節縫合し、会陰筋および皮膚は糸が抜けないように別々に約3~4針の結節縫合で修復される。研究者らは70年以上、「連続的無結節縫合法」が「従来の結節縫合法」よりいいと示唆してきた。このレビューでは、「従来の結節縫合法」と比較した「連続縫合法」について検討し、8ヵ国の8,184名の女性を対象とした16件のランダム化比較試験(RCT)を同定した。試験結果では、皮膚直下(皮下)の縫合により痛みが減り、出産後の鎮痛と抜糸の必要性が減少した。全3層の修復に「連続的縫合法」を用いた場合、さらに痛みが減った。ただ、試験によって施術者の技術や訓練は様々だった。会陰修復訓練プログラムを評価するため、他の研究が必要である。さらに、出産中の会陰外傷罹患率を低下させる介入について検討する研究が必要である。

また、結節縫合に比べ連続縫合の方が縫合材料の使用が少ない(1包対2~3包)というエビデンスもみられた。

著者の結論: 

結節縫合に比べ、会陰創傷閉鎖に対する連続縫合法は短期疼痛が少なく、鎮痛および抜糸の必要性も少なかった。また、結節縫合に比べ連続縫合の方が縫合材料の使用が少なかった(1包対2~3包)。

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背景: 

世界で何百万の女性が出産後に会陰縫合を受け、縫合の種類が疼痛または治癒に影響を及ぼす可能性がある。70年以上、研究者らは、従来の結節縫合に比べて連続的無結節縫合の方が腟、会陰筋および皮膚の修復に対し会陰痛が少ないと示唆してきた。

目的: 

出産後の会陰切開および会陰の第2度会陰裂傷の修復に対する、吸収糸結節縫合に比べた連続縫合の効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年1月20日)を検索した。

選択基準: 

経腟分娩後の会陰切開および第2度会陰裂傷の修復に対する連続縫合法および結節縫合法を検討しているランダム化試験。

データ収集と分析: 

3名のレビューアが別々に試験の質を評価した。3名のレビューア中2名が別々にデータを抽出し3番目のレビューアがそれをチェックした。その後追加された情報について研究著者に連絡を取った。

主な結果: 

研究参加時8,184名の女性を対象とした8ヵ国の16件の研究を選択した。施術者の技術および訓練の点で試験には異質性がみられた。メタアナリシスにより、会陰創傷閉鎖(全層または会陰表皮のみ)に対して、結節縫合に比べ連続縫合の方が分娩後10日までの疼痛の低下に関連性がある[リスク比(RR)0.76、95%信頼区間(CI)0.66~0.88、9試験]と示された。会陰表皮修復に対し、結節縫合に比べて連続縫合に関連性のある鎮痛使用の全体的減少がみられた(RR 0.70、95%CI 0.59~0.84)。結節縫合に比べて連続縫合群で抜糸の減少がみられた(RR 0.56、95%CI 0.32~0.98)が、創傷の再縫合の必要性または長期疼痛について有意差はなかった。

訳注: 

《実施組織》Minds 江藤宏美監訳[2014.1.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD000947》

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