分娩後出血予防に対するプロスタグランジン

注射用子宮収縮薬は、胎盤娩出という分娩第3期のルティーン管理で選択される薬である。経口投与または舌下投与のミソプロストールは、注射用子宮収縮薬の利用ができない場合に使用されることがある。 出産後、女性の子宮は収縮し出血が減少する。子宮が収縮しなかった場合、分娩後出血(多量の出血)が起こり生命に関わることがある。プロスタグランジン、オキシトシンおよびエルゴメトリンはすべて子宮を収縮させる薬である(子宮収縮薬)。52,678名の女性を対象にした72件のRCTの本レビューで、経口投与または舌下投与のプロスタグランジン(ミソプロストール)は、出産後の多量の出血および輸血の必要性の減少に有効であるという所見が得られた。ミソプロストールはオキシトシンほど有効ではなく、副作用が多い。主な副作用は、悪寒戦慄、高体温、下痢で相当な割合の女性で発現する。26件の試験は低~中所得国のセンターのみを組み入れていた。おそらく熟練した医療従事者へのアクセスが不良なために、注射用子宮収縮薬が利用できない地域において、ミソプロストールは有用である可能性がある。注射用プロスタグランジンは出血減少に有効であるが、嘔吐、腹痛および下痢の有害作用があり高価である。

著者の結論: 

経口投与または舌下投与のミソプロストールは、分娩後の出血減少において、プラセボに比べて有望な結果を示した。利益の限界は、分娩第3期での管理を構成する他の要素を使用するか否かに左右される可能性がある。副作用は用量依存性であることから、研究ではルティーンの使用での最小有効量と至適投与経路を確立することを目的とすべきである。

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背景: 

プロスタグランジンは、他の方法が失敗した場合の分娩後出血(PPH)に主に使用されてきた。新規の安価なプロスタグランジンE1アナログであるミソプロストールは、分娩第3期のルーチンの管理の代替として提案されている。

目的: 

分娩第3期での予防的プロスタグランジン投与効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register (2011年1月7日)を検索した。本検索を2012年5月25日に更新し、分類待ちのセクションに結果を追加した。

選択基準: 

分娩第3期の管理の一部として、プロスタグランジン薬を別の子宮収縮薬または予防投与の子宮収縮薬無使用(無治療またはプラセボ)と比較しているランダム化試験。主要アウトカムは1000 mL以上の失血および子宮収縮薬の追加使用であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に適格性および試験の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

72件の試験(女性52,678名)を選択した。プラセボに比べて経口投与または舌下投与のミソプロストールは重度のPPH[経口投与、7試験、女性6,225名、有意な異質性のため統合せず;舌下投与、リスク比(RR)0.66、95%信頼区間(CI)0.45~0.98、1試験、女性661名]および輸血(経口投与、RR 0.31、95%CI 0.10~0.94、4試験、女性3,519名)の減少に有効であった。 既存の注射用子宮収縮薬に比べて、経口投与のミソプロストールでは、重度のPPHリスクが高く(RR 1.33、95%CI 1.16~1.52、17試験、女性29,797名)、子宮収縮薬の追加使用リスクが高かったが、輸血が少ない傾向があった(RR 0.84、95%CI 0.66~1.06、15試験、女性28,213名)。追加の子宮収縮薬のデータは異質性のため統合しなかった。ミソプロストールの使用ではプラセボおよび他の子宮収縮薬に比べて、悪寒戦慄および38℃の発熱が有意に増加した。

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