加齢黄斑変性症(AMD)進行抑制のための抗酸化ビタミンおよびミネラルの補充

本レビューの目的
このコクランレビューの目的は、抗酸化ビタミンおよびミネラルサプリメントの摂取がAMDの進行を抑制するかどうか明らかにすることだった。コクラン研究者はこの質問に答えるためすべての関連する試験を収集解析し、19件の試験を確認した。

要点
抗酸化ビタミンサプリメントの摂取がAMDの進行を抑制する可能性がある。多くの場合、AMD進行のリスクが高い人に対する有用性が認められている。通常、ビタミンサプリメントは安全であると考えられるが、本レビューの対象はその多くが小規模試験であったため、安全性に関する良質なエビデンスは得られなかった。

このレビューからわかったこと
AMDは眼底(網膜)の中心部(黄斑)の疾患である。黄斑は年齢と共に変性する。なかには、この変性がより急速に起こり、眼底での個々の性状に関連する。その最も早い段階(早期AMD)では、黄斑(晶洞)は、眼の検査で眼科医(ヘルスプロフェッショナル)により網膜下に見られる。罹患した患者は、問題があることに気付いていない可能性が高い。AMDが進行するにつれて、視力に必要な眼底の細胞の欠損を引き起こすことがある。これは地図状萎縮として知られている。時には、新しい(有害な)血管が黄斑部で増殖する。これらの血管は出血や瘢痕を引き起こすおそれがある。これは血管新生または湿式AMDとして知られている。黄斑へのあらゆる損傷は視力、特に中心部視力に影響することがある。血管新生AMDおよび地図状萎縮は遅発性AMDとして知られている。

抗酸化ビタミンがこの変性や視力喪失から黄斑を保護するのに役立つと考えられる。ビタミンC、E、β-カロチン、ルテイン、ゼアキサンチンおよび亜鉛はビタミンサプリメントの中でよく見られる抗酸化ビタミンの一例である。

コクラン研究者は、AMD患者のみを対象として、これらのサプリメントの効果を検証した。別のコクランレビューでは、まだAMDに罹患していない人を対象として、これらのサプリメントの効果を検証した。

レビューの主な結果
コクラン研究者は19件の関連する試験を確認した。このうち10件はヨーロッパ、6件は米国、2件は中国、1件はオーストラリアで実施された。これらの試験ではマルチビタミンサプリメント、亜鉛、ビタミンE、ルテインおよびゼアキサンチンをプラセボと比較した。

・抗酸化ビタミンと亜鉛の摂取は遅発性AMDへの進行や視力喪失を抑制する(確実性が中等度のエビデンス)。その結果、生活の質がわずかに向上する可能性がある(確実性の低いエビデンス)。
・ルテインのみの摂取(またはゼアキサンチンとの併用)は遅発性AMDヘの進行および視力喪失に対する効果がほとんど認められない(確実性の低いエビデンス)。
・ビタミンEのみの摂取は遅発性AMDヘの進行および視力喪失に対する効果がほとんど認められない(確実性の低いエビデンス)。

通常、ビタミンサプリメントは安全であると考えられるが、本レビューの対象はその多くが小規模試験であったため、安全性に関する良質なエビデンスは得られなかった。また、報告された有害作用に一貫性は認められなかった。

本レビューの更新状況
コクラン研究者らは2017年3月29日までに公表された試験を検索した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.11.23] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD000254.pub4】

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