アーチー・コクラン:私たちの名前の由来
コクランは、疫学の発展に大きな影響を与えたスコットランドの医学研究者、アーチー・コクランにちなんで命名されました。
アーチボルド・コクラン教授(1909-1988)は、1972年に出版された影響力のある著書『Effectiveness and Efficiency:Random Reflections on Health Services』で最もよく知られています。
この本の中でコクランは、資源は常に限られているのだから、適切に設計され有効であると評価が示された医療を、公平に提供する形で、資源を使うべきだと提案しました。コクランの見解は、第二次世界大戦中に捕虜収容所の医師として、資源と治療法が緊急に必要とされていたにもかかわらず、極めて不足していた経験から得たものでした。
特にコクランは、ランダム化比較試験によるエビデンスを用いることの重要性を強調しました。この研究方法が、他の方法よりもはるかに信頼性が高い情報が得られると考えられたからです。ランダム化比較試験は、新しい介入や治療の有効性を推定するための、最も厳密で確実な一次的研究方法と考えられています。
コクランの考え方は、医療専門家にも、医療の専門知識を持たない人々にも、すぐに非常に重要なものとして広く認識されるようになりました。1987年、コクランは『Effective care in pregnancy and childbirth』(Chalmers、Enkin、Keirse編)の序文で、妊娠・出産時のケアに関するランダム化比較試験のシステマティックレビューを「ランダム化試験の歴史とケアの評価における真のマイルストーン」と評し、他の医学専門分野もこの方法を採用すべきだと提案しました。
コクランの死から5年後の1993年、コクラン共同計画が設立され、システマティック・レビューをすべての人々の健康増進のための活動の中心としました。
コクランのロゴ
ロゴの外側にある2つの "C "の形が作る円は、私たちのグローバルなコラボレーションを表しています。
その内側にある線は、象徴的な系統的レビューの結果の要約を表現しています。横の線はひとつひとつの試験結果を表し、ひし形はこれらの試験を統合した結果、つまり治療が効果的なのか有害なのかについて下した最終の判定を表しています。このひし形は差がないことを示す垂直線より明らかに、左側にあります。したがってこのエビデンスは、治療法が有益であることを表しています。この図は「フォレストプロット」と呼ばれます。
コクランのロゴの中のこのフォレストプロットは、システマティックレビューが医療を改善する可能性を示した一例です。この例では、未熟児の分娩時に妊婦に副腎皮質ステロイドを投与することによって、新生児の命を救うことができることを示しています。
複数の試験によって副腎皮質ステロイドの有益性が示されていたにもかかわらず、産科医によるこの処置の導入はなかなか進んでいませんでした。この系統的レビュー(もともとCrowleyらにより発表され、その後更新されました)がおよぼした影響により、この処置が広く行われるようになりました。この簡単な介入によって、おそらく何千という未熟児の命が救われてきました。