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腹膜透析患者のカテーテル機能と臨床結果を向上させるためのカテーテル挿入技術

論点

腹膜透析(PD)は、柔軟なプラスチック製のカテーテルを腹腔(腹部の臓器の周りの空間)に挿入し、透析治療を行うものである。このチューブは、老廃物や水分を最適に排出するために、毎日(または一晩)数回、腹膜腔に無菌の液体を出入りさせることができるものでなければならない。腹腔内にPDカテーテルを最初に挿入する方法は、地域性と専門知識によって施設によって異なるため、どのカテーテル挿入方法が、カテーテルの機能、寿命、術後合併症を最小限に抑えながら患者にとって最良の臨床結果(評価項目)をもたらすかは明らかではない。

何を行ったのか?

2022年11月までのコクラン腎・移植専門登録データベースを検索した。特定された研究のうち、本レビューに使用できたのは17件のみであった。含まれる研究のうち9件の研究から、合計658人の参加者が分析に含まれた。他の8件の研究は、記述的レビューにしか適さないものであった。

わかったこと

PDカテーテルの挿入方法を検討した研究は一般的に質が低く、PDカテーテルの長期的な結果を分析できるような方法で検討したものはないことがわかった。つまり、どのPDカテーテルの挿入方法が、カテーテルの生存率の点で患者にとって最適なのかは、まだわかっていない。PDカテーテルの挿入方法の違いを比較した研究の中には、術後の合併症を調べたものもある。腹腔鏡による挿入法では、術後の液漏れがやや少なかった。この方法で挿入されたカテーテルは腹腔内で可視化されるが、カテーテルの操作や余分な外科的処置は行えない。また、開腹手術によるPDカテーテル挿入と比較して、腹腔鏡下手術によるカテーテル挿入では、PDカテーテルがベストポジションから移動する頻度が少ないという指摘もあった。

結論

あるPDカテーテルの挿入方法が他の方法よりも有益であることを示すエビデンスは見つからなかった。これらの研究は小規模で、総じて質は低かった。

訳注

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳 [2023.05.29]《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD012478.pub2》

Citation
Briggs VR, Jacques RM, Fotheringham J, Maheswaran R, Campbell M, Wilkie ME. Catheter insertion techniques for improving catheter function and clinical outcomes in peritoneal dialysis patients. Cochrane Database of Systematic Reviews 2023, Issue 2. Art. No.: CD012478. DOI: 10.1002/14651858.CD012478.pub2.