骨転移を伴う前立腺がん患者に対する骨修飾薬

レビューの論点

このシステマティックレビューでは、骨転移がある前立腺がん患者に対して骨合併症を予防するための複数の異なる薬剤を比較し、治療選択肢の順位を提供することを目的とした。検討対象としたのは、痛みの軽減、各種の骨関連事象の予防、有害事象の発生、QOL(生活の質)など、さまざまな治療結果である。骨転移がある前立腺がん患者の支持療法として投与するのに、最も効果的で安全性の高い骨修復薬の特定をめざした。

背景

前立腺は男性の生殖器系にある分泌腺である。前立腺がんは、骨を含む体の他の部位に広がる(転移と呼ばれる)可能性がある。前立腺がん患者の骨転移は、骨折や痛みなどの骨合併症を引き起こすことがある。新たな骨形成(新しい骨が作られること)によって骨合併症を予防する支持療法として、さまざまな骨修飾薬が使用されている。これまで、どの薬剤が最も効果的で安全性が高いかについて明確な推奨がされていなかった。本レビューでは、利用可能な情報に基づき、統計的手法を用いて骨修飾薬すべてを相互に比較した。

研究の特性

2020年3月23日まで、各種データベースで綿密な検索を行った。前立腺がんと骨転移を有する患者について骨修飾薬を別の骨修飾薬と、あるいは無治療またはプラセボ治療(疑似治療)と比較した25件の研究を対象とした。

主な結果

研究25件のうち21件が、レビューの検討対象とした患者関連の治療結果に関するデータを報告していた。ビスホスホネート系薬剤6種類(ゾレドロン酸、リセドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、エチドロン酸、クロドロン酸)と、異なる作用機序をもつ薬剤デノスマブの計7つの薬剤が含まれた。検討対象とした治療結果ごとに別々の解析のみが可能であった。骨関連事象に関しては、ゾレドロン酸とデノスマブが最も効果的なようであるが、同時に最重症の有害事象(ゾレドロン酸の治療では腎障害、デノスマブの治療では顎骨壊死 [あごの骨が部分的に腐ること] など)が最も多く認められるようであった。レビューに含んだほとんどの研究は、QOLに関するデータを報告していなかったり、非常に不十分な報告内容だったため、QOLについては異なる研究からの情報を組み合わせて解析することはできなかった。このため、その結果はデータではなく言葉で説明した。

エビデンスの確実性

本レビューで検討したさまざまな薬剤と治療結果について、エビデンスの確実性は「高い」から「低い」と評価した。このレビューの限界は、全治療結果を同時に考慮した総合的な順位付けが不可能なことである。したがって、どの治療選択肢を使用すべきかについて十分な情報に基づいた決定を行うには、関心のある全薬剤の治療結果および、それぞれの選択肢の長所と短所のバランスを考慮する必要がある。

訳注: 

《実施組織》一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)『海外癌医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/)片瀬ケイ 翻訳、加藤恭郎(天理よろづ相談所病院緩和ケア科)監訳 [2021.01.31] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン・ジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD013020.pub2》

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