結核を診断する際、塗抹検鏡の代わりにXpert MTB/RIF診断検査を使用すると死亡や治療完遂率を低下するか?

このレビューの目的

結核は、感染者の咳やくしゃみからの小さな飛沫を吸い込むことで感染する細菌性感染症である。結核は主に肺に影響しますが、体のどの部分にも影響を与える可能性がある。結核は通常抗結核薬を6ヶ月間服用することで完治する。結核菌の中には耐性を獲得したものもあり、その場合は異なる抗生物質を組み合わせて治療する必要がある。多くの国では結核診断にXpert MTB/RIF検査を使用している。我々は、この検査が結核疑いの人の死亡や治療成功といった健康上の成果に影響を与えるかどうかを検討した。

このレビューで検討されたこと

結核の迅速かつ正確な診断は、病人ができるだけ早く適切な抗生物質の服用を開始することができる。そうすれば亡くなる人の数を減らすかもしれないし、それだけでなく、リファンピシン耐性結核が早期に検出されれば、適切な治療を受けられる可能性が高くなる。また、結核ではない人が不必要な治療を受けないようにすることもできる。

Xpert MTB/RIF検査は自動化分子検査で、一般的には2時間以内に結核菌とリファンピシン耐性を同時に検査するために用いられる。世界保健機関(WHO)は、結核診断に喀痰(肺から喀出される唾液と粘液の混合物)に含まれる細菌を顕微鏡で観察する塗抹検鏡の代わりに、Xpert MTB/RIF検査の使用を推奨している。このレビューでは、顕微鏡検査の代わりにXpert MTB/RIF検査を使用することで、健康上の成果が向上するかどうかを検討している。

レビューの主な結果

結核の疑いがあリ治療が検討された人で、Xpert MTB/RIF検査または塗抹検鏡のいずれかで診断された人における健康上の成果を評価した研究を検索した。関連する研究を12件見つけた。8件の研究では成人のみを対象とし、4件の研究では全年齢層を対象とした。アフリカサハラ砂漠以南で10件、ブラジルで1件、インドネシアで1件の研究が行われた。これらの研究では2カ月から2年間追跡観察していた。

結核診断にXpert MTB/RIF検査を使用した場合、塗抹検鏡に比べ、次の人の数を確定することはできなかった。

- 死亡した人(5件の研究、10,409人)。
- 治療に成功した人(3件の研究、4802人)。
- 6ヶ月以内に死亡した人(3件の研究、8143人)、または
- 結核を治療された人(5件の研究、8793人)。

塗抹検鏡と比べ、Xpert MTB/RIF検査を使用するとおそらく

- 追跡観察中に死亡したHIV陽性者の数を減少させる(5件の研究、1789人)。
- 結核が確認され治療を開始した人の数が増加する(3件の研究、1217人)。
- 結核の確定診断を受け治療した人の数が増加する(6件の研究、2068人)。

どの研究も、人々の満足度や結核と診断されるまでの受診回数を報告していない。リファンピシン耐性結核の治療を調べた研究は1件のみであった。

主な結果

以上の結果、Xpert MTB/RIF検査はいくつかの健康上の成果に対しては有益であり、その他の健康上の成果に対しては結論が出ない結果(効果の有無を肯定も否定もできない)となった。

これらの結果は、Xpert MTB/RIF検査を導入する際に、費用対効果や実行性に関する情報と合わせて、意思決定に役立つ。

このレビューはどの時点のものか?

2020年7月24日までに発表された研究を組み入れた。

訳注: 

《実施組織》星 進悦、冨成麻帆 翻訳[2021.06.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012972.pub2》

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