家族性アミロイドポリニューロパチーの薬物治療

本ビューの目的

このレビューの目的は、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)を治療する薬剤が、神経損傷による障害を軽減し、神経損傷の重症度を軽減し、栄養状態、生活の質、うつ病を改善するかどうかを評価することであった。また、副作用に関するエビデンスも検討した。

要点

FAP患者に対する薬物治療の研究は、トランスサイレチン-FAP(TTR-FAPとも呼ばれる)に限定されている。4つの試験がプラセボ(不活性化合物、ダミー化合物)と薬剤を比較したが、薬剤同士を直接比較した試験はなかった。それらの研究では、研究対象となった4つの薬剤(タファミディス、ディフルニサル、パティシラン、イノテルセン)はすべて、おそらくTTR-FAP患者にとって有益であるというエビデンスが得られたが、これらの結果とは真の効果が異なる可能性が残されている。薬剤同士を比較する研究は、1つの薬剤とコストの優位性を示すために必要な試験規模によって制限されているため、より長く効果をモニターする研究が必要である。

本レビューからわかったこと

FAPは、主に末梢神経(脳や脊髄以外の神経)に不溶性のタンパク質の沈着物(フィブリル)が影響を及ぼす遺伝性の進行性疾患群である。フィブリルが沈着するのは、遺伝子的に正常に折りたたまれない異常なタンパク質でできているからである。このプロセスもまた、心臓、腎臓、および目を含む他の多くの臓器で発生するため、これらの障害は複雑である。沈着したタンパク質フィブリルの種類と正確な遺伝的欠陥により、FAPの種類が決定される。TTR-FAPは圧倒的に多いFAPである。肝臓移植が唯一の治療法であり、ごく限られた症例で行われていたが、最近ではTTR-FAP患者の病態に影響を与える可能性のある薬剤が使用できるようになってきた。

本ビューの主な結果

レビュー著者らは、TTR-FAP患者655人の成人を対象とした4件の関連研究を特定した。

ある研究では、早期のTTR-FAP患者にタファミディスまたはプラセボを18ヵ月間投与した。障害は測定されなかった。その結果、タファミディスはプラセボと比較して、末梢神経障害が進行した人の割合と神経障害の平均変化(強さと感覚のスコアに基づく)の両方を減少させる可能性が示唆された。タファミディスが生活の質や死亡者数、有害事象による脱落、重篤な副作用などに影響を与えるかどうかは不明である。

TTR-FAP患者を対象とした24ヶ月間の研究から、プラセボと比較して、ディフルニサルはFAPの進行による障害をわずかに減少させ、末梢神経障害の悪化を軽減する可能性が示唆された。ディフルニサルが生活の質や死亡者数、副作用による脱落、重篤な副作用を経験する人などに影響を与えるかどうかは不明である。

TTR-FAP患者を対象とした18カ月間の試験の結果、プラセボに比べてパティシランはFAPの進行による障害を減少させ、末梢神経障害の悪化を軽減することが示唆された。パティシランはプラセボに比べて生活の質の低下がわずかに少ない可能性がある。パティシランは、死亡率や副作用による脱落、重篤な副作用を経験した人の数にほとんど差がない場合がある。

4つ目の研究では、TTR-FAP患者には66週間、イノテルセンまたはプラセボが投与された。障害は測定されなかった。この試験では、イノテルセンはおそらく末梢神経障害の悪化を軽減するが、プラセボと比較して生活の質の変化にはほとんど効果がない可能性があることが示された。イノテルセンは、プラセボと比較して副作用による脱落の数が増加していることからもわかるように、プラセボを上回る数の有害事象と関連している可能性がある。イノテルセンは、重篤な副作用を経験した人の数にほとんど差がない。

レビュー著者らは、他のタイプのFAP患者に対する薬物療法を扱った研究を特定できなかった。

4つの研究のうち3つは、調査対象となった薬剤のメーカーから資金提供を受けていた。

本レビューの更新状況

エビデンスは2019年11月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.02.28]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012395.pub2》

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