小児の非特異性咳嗽に対する蜂蜜およびのど飴

慢性非特異性咳嗽(原因不明で連続4週間以上続く客痰のない乾性咳嗽と定義)の小児では、多くの場合、症状の緩和が求められる。本レビューの目的は、このような咳を呈する小児に安価な選択肢として蜂蜜またはのど飴を使用した場合の有効性を評価することである。本レビューに適格なランダム化比較試験は同定されなかった。試験参加者が選択基準を満たしていなかったことが主な原因である。しかし、急性咳嗽の小児に対するこれらの治療効果を検討した試験では、1歳以上の小児に蜂蜜が有用である可能性が示された。慢性非特異性咳嗽の小児に対する蜂蜜およびのど飴の有効性を評価する研究がさらに必要である。

著者の結論: 

臨床的に、本レビューではエビデンスが不足していたため、蜂蜜またはのど飴の良否に関する正当な推奨を提供できなかった。適格な試験が存在しなかったことから、慢性非特異性咳嗽を呈する小児を蜂蜜またはのど飴で治療する分野において、さらなる研究が必要であることが強調される。小児がきわめて若齢の場合、蜂蜜またはのど飴による治療は推奨されない(のど飴は窒息の危険性があり、蜂蜜は1歳未満の小児に乳児ボツリヌス症を引き起こす可能性がある)。

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背景: 

慢性非特異性咳嗽は、原因となる呼吸器疾患または病因が不明な慢性の乾性咳嗽である。通常は重度の基礎疾患が存在することを反映するものではないが、著しい病的状態を引き起こすため、多くの場合、症状の緩和が求められる。上部呼吸器の刺激緩和を目的とした蜂蜜やのど飴の使用は一般的かつ安価で、薬理学的介入と比較して症状の治療に有効である可能性がある。

目的: 

慢性非特異的咳嗽を呈する小児の管理における蜂蜜またはのど飴の効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Airways Groupは2010年10月にCochrane Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE、OLDMEDLINEおよびEMBASEを検索した。

選択基準: 

慢性非特異的咳嗽を呈する小児の治療において蜂蜜またはのど飴をプラセボと比較したすべてのランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

事前に規定した基準に従って検索結果を評価した。検索により選択基準を満たす試験は特定されず、本レビューの解析に利用可能なデータは得られなかった。

主な結果: 

検索の結果、慢性非特異性咳嗽を呈する小児における蜂蜜またはのど飴の効果を検討した適格なランダム化比較試験は同定されなかった。急性試験から得られたデータは、蜂蜜が咳嗽の改善に有効な可能性を示唆しているが、慢性咳嗽にも有効であるかは不明である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.20]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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