メンタルヘルスの問題を持つ人々のための共同意思決定

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メンタルヘルスの問題は一般的となっており、それは当事者と周囲の人々に重大な影響を及ぼす可能性がある。現在の臨床ガイダンスでは、精神医療従事者が患者を治療の決定に参加させることが奨励されている。これは人々に自己決定権があることと、治療アドヒアランスが高まるという期待に基づいて提唱されている。

我々は、メンタルヘルスの問題を持つ人々の共同意思決定を促進するような介入を行ったランダム化比較研究(RCT)、準ランダム化比較研究(q-RCT)、前後比較研究(CBA)、分割時系列(ITS)研究をくまなく検索した。そして、組み入れ基準を満たす2件の研究を見つけた。両研究ともに質が良く、バイアスの原因となり得る事象を減らす努力をしていた。

共同意思決定を促す介入が、患者の治療やケアに対する満足度に影響したか、より良い健康アウトカムにつながったか、また介入によって患者が再入院しにくくなったかについて調べられた。1研究は、介入が短期的に患者満足度を高めたことを示していた。1研究は、介入により、医師による利用者の意思決定参加を促進する行いが増加したと示していた。しかし、どちらの研究でも臨床あるいは保健サービスに関するアウトカムへの効果は認められなかった。いずれの研究でも、メンタルヘルスの問題を持つ人々に対する共同意思決定の有害性は報告されなかった。しかしこれら2件の研究からは、測定されたどのアウトカムについても確固たる結論を導くことはできず、さらなる研究が必要とされている。

訳注: 

《実施組織》 五十嵐百花 翻訳,  佐藤さやか 監訳 [2020.7.6] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007297.pub2》