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癌治療中患者における単純ヘルペスウイルス予防と治療の介入

背景

癌治療を行っている患者に、粘膜炎、真菌感染、細菌感染、単純ヘルペスウイルス(HSV)のようなウイルス感染などの口腔合併症が生じることがある。

目的

癌治療中の患者において、単純ヘルペスウイルスの予防、治療、またはその両方の介入の効果を調べる。

検索戦略

以下のデータベースを検索した;Cochrane Oral Health Group's Trials Register, CENTRAL, MEDLINE, EMBASE, CINAHL, CANCERLIT, SIGLE and LILACS。さらなる研究結果のために、全ての関連した総説の参考文献リストと関係する可能性があると考えられる論文をチェックした。その後追加された発表・未発表の試験をさらに特定するための試みとして、判明した試験の著者とこの分野で著名な専門家にコンタクトをとった。最終検索日:2008年11月

選択基準

癌治療中の人におけるHSV感染の予防、治療、又はその両方に対する介入を比較している全てのランダム化比較試験。 アウトカムは臨床/培養でのHSV感染陽性の有無(予防)、病変の完全な治癒までの時間(治療)、ウイルス排出期間、病変の再発、疼痛の軽減、鎮痛薬の量、入院期間、口腔ケアの費用、患者の生活の質、副作用。

データ収集と分析

データは2名のレビュー著者のよって別々に抽出された。著者には、必要があればランダム化、ブラインド化、標本の人口統計の詳細について連絡を取った。質の評価はランダム化、ブラインド化、中止、選択的な報告について行った。リスク比(RR)の値はCochrane Oral Health Groupの統計ガイドラインに従ってランダム効果モデルを使った。

主な結果

17件の試験が選択基準を満たした。4件の試験がHSV病変の予防的介入を、3件の試験がウイルス分離を、8件の試験がその両方のアウトカム測定を評価していた。1件の試験がHSVに対する予防のコストについて報告していた。治療を評価している2件の試験が治癒までの時間、ウイルス排出期間、疼痛の軽減を報告していた。入院期間、鎮痛剤の量、患者の生活の質について報告した試験はなかった。 プラセボと比較した試験では、口腔病変(リスク比(RR)0.16(95%信頼区間(CI)0.08, 0.31)9件の試験)やウイルス分離(RR 0.17(95%CI 0.07, 0.37) 9件の試験)から、アシクロビルはHSV感染の予防に有効であることがわかった。 バラシクロビルがアシクロビルより有効であるというエビデンスはなく、高用量のバラシクロビルが低用量より有効であるというエビデンスもなかった。 ウイルス分離の予防に対して、プラセボはプロスタグランジンEより有効であることがわかった(RR 1.87(95%CI 1.12, 3.14)1件の試験)。 アシクロビルは、ウイルス分離の期間(中央値2.5日vs17.0日(静注vsプラセボ(P=0.0002));2日vs9日以上(経口vsプラセボ(P=0.0008))、最初の疼痛軽減(中央値3日vs16日(P=0.04))、痛みの完全な解消(中央値9.9日vs13.6日(静注vsプラセボ(P=0.01));6日vs16日(経口vsプラセボ(P=0.05)))、50%治癒(中央値6日vs11日(P=0.01))、治癒の合計(中央値13.9日vs20.7日(静注vsプラセボ(P=0.08));中央値8日vs21日(経口vsプラセボ(P=0.01)))それぞれにおいてHSV治療に有効であることがわかった。

著者の結論

アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス感染の予防と治療に有効であるというエビデンスが示された。バラシクロビルがアシクロビルより有効であるエビデンスや、低用量より高用量のバラシクロビルが効果的というエビデンスは見られなかった。予防として、プラセボはプロスタグランジンEより効果があるというエビデンスが示された。しかしながら、採用したすべての試験において、バイアスの危険あった。

訳注

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Citation
Glenny A-M, Fernandez Mauleffinch LM, Pavitt S, Walsh T. Interventions for the prevention and treatment of herpes simplex virus in patients being treated for cancer. Cochrane Database of Systematic Reviews 2021, Issue 9. Art. No.: CD006706. DOI: 10.1002/14651858.CD006706.pub2.