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先住民成人および小児喘息患者に対する先住民医療従事者の関与

背景

国のガイドラインにおいて喘息教育は喘息管理の重要なステップとみなされている。人種、民族および社会経済因子は、救急医療施設への受診の反復などの喘息重症度のマーカーと関連している。世界的に、先住民の群は喘息スペクトルの重症の一端を過剰に占めている。適切なケアモデルはサービスを十分に行き渡らせるのに重要であり、喘息患者のアウトカムを改善するのに寄与する可能性がある。

目的

喘息教育プログラムにおける先住民医療従事者(IHW)の関与がある場合はない場合に比べて、先住民小児および成人喘息患者の喘息関連アウトカムを改善するか検討すること。

検索戦略

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、 Cochrane Airways Group Specialised Register、MEDLINEおよびEMBASEデータベース、レビュー論文、関連性のある論文の参照文献リストを検索した。最新検索は2011年1月であった。

選択基準

先住民喘息患者に対して喘息教育プログラムにおける先住民医療従事者(IHW)の関与がある場合とない場合を比較しているすべてのランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析

2名のレビューアが別々に採用データを選定し、1名のレビューアがデータを抽出した。2名のレビューアが別々に研究の質を評価した。さらなる情報について著者に連絡を取った。「ITT解析」としてデータを解析できなかったため、「治療を受けたもの」としてデータを解析した。

主な結果

1件の研究が選択基準を満たし、小児113例が先住民医療従事者(IHW)が関与する喘息教育プログラムまたはIHWが関与しない類似の教育プログラムにランダム化されていた。これらの小児のうち88例が試験を終了した。コントロール群に比べて、両親の喘息知識スコア[平均差(MD)7.49; 95% CI 5.52~9.46]、両親の喘息スキルスコア(MD 0.98; 95% CI 0.52~1.44)、および学校欠席日数(介入群の就学年齢小児の100%が7日未満の欠席、コントロール群の21%が7~14日欠席、差=21%, 95% CI 5~36%)は介入群で有意に良好であった。平均増悪回数(年当たり)に両群間で有意差はなかった。生活の質および小児の喘息スキルスコアに差はなかった。いずれのアウトカムも1件の研究のみに限定され、IHW群に有利な傾向を示した。成人を対象とした研究はなかった。

著者の結論

1件の小規模な研究における先住民を対象とした喘息プログラムへのIHWの関与は、小児喘息患者において、すべてではないが大半の喘息アウトカムの改善に有益であった。IHWの関与は有益である可能性が非常に高い。しかし、増悪頻度に両群間で有意差はなかったことから、すべての設定でこの結果が得られるとは確信できない。とはいうものの、健康アウトカムおよび文化の複雑さならびに先住民での自己決定の重要性を考慮すると、先住民小児および成人喘息患者に対する喘息教育プログラムにIHWを関与させることは妥当である。しかし、さらなるランダム化比較試験(RCT)を実施すべきである。

訳注

Translated by: MINDS

Translation supported by:

Citation
Chang AB, Taylor B, Masters IBrent, Laifoo Y, Brown ADH. Indigenous healthcare worker involvement for Indigenous adults and children with asthma. Cochrane Database of Systematic Reviews 2010, Issue 5. Art. No.: CD006344. DOI: 10.1002/14651858.CD006344.pub3.