歯科医療従事者は、人々が喫煙やタバコ製品の使用を止める手助けをすることができるか?

お口の健康を保つために

タバコには、吸う、噛む、嗅ぐ(嗅ぎタバコとして)などの使用方法がある。タバコを使用している人が健康のためにできる最善のことは、タバコをやめることである。これにより、肺がんや、口内炎や歯周病などの他の病気のリスクが低くなる。

多くの人は少なくとも年に1回は歯科医院を訪れるが、もっと頻繁に訪れる人もいるだろう。歯科医療従事者は、タバコを続けることによる健康上のリスクと、タバコをやめることによる健康上のメリットを伝えることで、タバコをやめるように動機づけることができる。歯科医療従事者には以下の職種を含む:

- 歯科医師;

- 歯科衛生士;

- 歯科治療者;および

- 歯科看護師(一部の国では歯科助手と呼ばれている)。

このコクラン・レビューを行った理由

私たちは、歯科医療従事者がアドバイスやサポートを提供することで、人々がたばこをやめる手助けができるかどうかを調べた。また、歯科医療従事者によるサポートが、何らかの望ましくない影響をもたらすかどうかも知りたいと思った。

実施したこと

歯科医療従事者からのアドバイスやサポートが、タバコを吸ったり、噛んだり、嗅いだりするのを止めるのに役立つかどうかを検証した研究を探した。

ランダム化比較試験、すなわち参加者が異なる治療群に割り当てられ、どの人がタバコの使用を止めるためのサポートを受けるかが偶然(ランダム)に決定される方法を用いた研究を探した。このタイプの研究は通常、介入の効果について信頼性の高いエビデンスを与える。

検索日: 2020年2月までに公表されたエビデンスを含めた。

わかったこと

タバコ製品(喫煙、噛みタバコ、嗅ぎタバコ)を使用している14,897人を対象とした20件の研究が見つかった。研究が実施された場所は、米国(13件)、英国(2件)、スウェーデン(2件)、日本(1件)、マレーシア(1件)、インド(1件)であった。ほとんどの研究(16件)は歯科医院で行われ、4件は学校や大学で行われた。

すべての研究で、タバコをやめるための行動プログラムが用いられていた。これらのプログラムは、モチベーションを高め、タバコをやめるためのアドバイスを提供することを目的としていた。また、4つの研究では、行動プログラムに加えて、ニコチン置換療法(NRT)や電子タバコを提供することも含まれていた。

19件の研究は政府機関または大学から資金提供を受けており、1件の研究は資金提供を受けていないと報告していた。

研究では、検証された行動プログラムの種類ごとに、何人の人が少なくとも6カ月間、喫煙やたばこ製品の使用をやめたかを測定した。

すべての研究において、歯科医療従事者から行動サポートを受けることの効果が以下の介入と比較された。

- 通常のケア(これに何が含まれるかは研究では述べられていない);

- サポートもアドバイスもなし;

- 健康増進のための禁煙に関する簡単なアドバイス;または

- あまり積極的ではない行動サポート。

レビューの主な結果

歯科医療従事者を含み、NRTや電子タバコを用いた行動プログラムは、おそらくより多くの人の禁煙を助けるだろう。これらのプログラムでは、平均して1000人中74人が禁煙したのに対し、行動サポートを受けなかった人では禁煙したのは1000人中27人であった。(1221人を対象とした4つの研究から得られたエビデンスによる)

歯科医療従事者が関わる数回の行動プログラムのセッションは、人々がタバコを止めるのに役立つかもしれない。これらのプログラムでは、平均して、1000人中106人が禁煙したのに対し、行動支援を受けなかった人で禁煙したのは1000人中56人であった(7つの研究、2639人が対象)。

行動プログラムは1回のセッションでも、禁煙の助けになる可能性がある。この場合、平均して1000人中45人が禁煙したのに対し、行動支援を受けなかった1000人中では24人の禁煙であった(4つの研究、6328人が対象)。

歯科医院以外の環境(学校や大学など)での歯科医療従事者からのアドバイスやサポートの効果については不明である。なぜなら、これらを検証した研究は、信頼できる効果を示すには規模が小さすぎたからである(3件の研究、1020人が対象)。

歯科医療従事者による行動プログラムに望ましくない影響があったかどうかは、1つの研究でしか報告されていなかったため、不明である。

結果の信頼性

歯科医療従事者によるサポートとNRTや電子タバコの併用による効果については、中程度の信頼性がある。歯科医療従事者による1回、または数回の行動サポートの効果については、信頼性はそれほど高くない。

エビデンスには弱点があることがわかった。いくつかの研究では、タバコの使用をやめたかどうかを参加者に尋ねただけで、タバコをやめたかどうかを調べるためのテスト(呼気や唾液の検査など)を行っていなかった。また、いくつかの研究では、どのように実施されたか、あるいはどのように人々を異なるグループに割り当てたかが明確に記述されていなかった。ある研究では、半分以上の人が研究終了前に脱落していた。

これらの結果は、より多くの質の高いエビデンスが得られると変わる可能性がある。

要点

NRTや電子タバコを伴う歯科医療従事者からのアドバイスやサポートは、禁煙の助けになる可能性が高い。

1回または複数回のアドバイスやサポートは、喫煙やタバコ製品の使用を止めるのに役立つ可能性がある。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、瀬戸屋希 翻訳[2021.4.6]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD005084.pub4》

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