バラ色粃糠疹の治療

背景

バラ色粃糠疹(訳注:細かい落屑が皮疹に付着したもの)は若年成人によくみられる鱗屑性(うろこ状)発疹である。紅斑(バラ色を呈する)に鱗屑が付着したような皮疹が広範囲に出現する。通常バラ色粃糠疹は2~12週間以内に治癒するが、発疹が重篤な伝染性疾患にみられる皮膚状態に似ていることから、懸念が引き起こされることがある。さらに、バラ色粃糠疹では中等度から重度のかゆみを伴うこともあり、有効な治療が必要となる。

レビューの論点

我々は、バラ色粃糠疹の治療の有効性と安全性を評価したいと考えた。対象となった治療法は、単独または他の治療法と組み合わせて行われた局所的、全身(経口または注射による全身で作用する薬物療法)または光線療法であり、無治療プラセボ、媒介物(治療に役立つと考えられる不活性成分)を用いた治療のみ、または他の積極的な治療であった。バラ色粃糠疹の症例では、通常2〜12週間の間に自然回復するため、我々は2週間後の報告された転帰を考慮した。

研究の特性

エビデンスは2018年10月現在のものである。

2歳から60歳までの総数761名(男女ほぼ同数)を対象者とする14件の研究を含めた。ほとんどの研究は、アジアの皮膚科で実施され、期間は5〜26ヶ月であった。3つの研究は、医薬品メーカーによって資金提供されたが、ほとんどの研究は、資金源を報告していなかった。疾患の重症度は様々な手段によって評価されたが、参加者は軽症、中等症、または重症に分類されなかった。研究で評価された重要治療法には、様々な抗生物質やアシクロビル(ヘルペス感染症を治療するための薬物)が含まれ、プラセボ、無治療、または標準的なケアと比較された。その他の治療法には、光線療法、コルチコステロイドおよび抗ヒスタミン薬、漢方薬(ポテンリン)が含まれていた。ほとんどの研究は、1週間の治療を評価していた。

治療中に報告された副作用を除いて、すべての結果は治療後2週間以内に評価された。

含まれている研究のいずれにも、参加者による発疹改善の評価について報告されていない。痒みは常に参加者が評価した。発疹の改善は良好か優れていると評価された。

医療者の発疹改善またはかゆみの解決の評価では、クラリスロマイシンとプラセボの間に違いはなく、深刻な有害事象は報告されなかった(すべての中等度の質のエビデンス)。痒みスコアおよび軽度の副作用の減少は測定されなかった。

同様に、医療者の発疹の改善の評価では、アジスロマイシンとプラセボまたはビタミンの間ではないかもしれないが、エリスロマイシンはプラセボと比較してより発疹を改善させる可能性がある。しかし, 結果はプラセボの利点があるか、治療間のが少ないか、まったくないことを示している (いずれの結果も低度の質のエビデンス)。アジスロマイシンとコンパレータを比較した場合、かゆみの消失やかゆみスコアの低下のはなかった。軽度の腹痛等の軽微な副作用にもはなかった(いずれも中程度の質のエビデンス)。エリスロマイシンとプラセボを比較した場合、かゆみの消失は測定されなかったが、おそらくエリスロマイシンによるかゆみスコアの低下が大きいと考えられる。胃腸の不調など軽微な副作用の可能性も群間で明確な違いはなかった(中程度の質のエビデンス)。

1つの研究は、アシクロビルがかゆみの消失にはプラセボよりもおそらく効果が低いことを示唆した(しかし、かゆみスコアの減少は測定されなかった)。だが、3つの研究の医療者の発疹の改善の評価で、アシクロビルはおそらくプラセボ、無治療、ビタミン剤よりも医療者の発疹の改善の評価で優位に効果があることを示している。 軽微な副作用の発生率においてはアシクロビルとプラセボの間におそらく違いはない:プラセボ群の1人の参加者は軽度の腹痛と下痢をおこした(すべての結果で中程度の質のエビデンス)。

1つの研究では、標準的なケア(カラミンローション(訳注:軽度の痒みに用いられる医薬品だが、市販されている)と抗ヒスタミンセチリジン)と組み合わせてアシクロビルを使用すると、かゆみスコアを減らし、かゆみを消失を増加させることが示された(低度の質のエビデンス)。医療従事者による発疹改善の評価は測定されなかった。頭痛、睡眠の増加、病気、味覚への影響など、軽微な副作用は群間でがないかもしれない。

どの研究も深刻な有害事象は報告されなかった (低度から中程度の質のエビデンス).

エビデンスの質

主要な結果については、エビデンスの質は低度から中等度であった。結果の多くは、参加者の数が少ない少数の研究に基づいていた。研究の結果にはばらつきがあり、研究デザインに対する懸念もあった。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子 阪野正大 翻訳[2020.04.02]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD005068.pub3》

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