歯周病の治療は、糖尿病をもつ人の血糖値のコントロールに役立つのか?

レビューの論点

このレビューの主な論点は、「歯周病治療は、積極的な治療を行わない場合や通常の治療と比較して、糖尿病患者の血糖値のコントロール(血糖コントロールと呼ばれる)にどのように有効か?」ということである。

背景

歯周病治療は、歯周病による腫れや感染を抑えるために行われる。血糖値をコントロールすることは、糖尿病患者にとって重要な課題であり、いくつかの臨床研究では、歯周病治療と血糖値コントロールには関係があることが示唆されている。そのため、歯周病治療によって血糖コントロールが改善されるかどうかを明らかにし、臨床資源の有効活用を促すことが重要である。

糖尿病の患者の治療には、幅広い歯周病治療がある。今回のレビューでは、2つのタイプを検討した。

1.歯周病治療は、糖尿病患者の血糖コントロールを改善するのか?
2.血糖値のコントロールを改善するために、特定の歯周病治療は他の治療法よりも大きな効果があるのか?

試験の特徴

この既存の臨床試験のレビューは、コクランの口腔保健グループに所属する著者によって行われたもので、2010年に発表されたレビューを更新したものである。エビデンスは2014年12月31日までのものである。

このレビューでは、1997年から2014年の間に発表された35件の試験(2565人の参加者を含む)を含み、参加者は、歯周病治療群(スケーリング(歯に付着している歯石などを除去すること)とルートプレーニング(歯根を磨いて滑らかにすること)(SRP)、あるいはスケーリングとルートプレーニング(SRP)と他の治療の組み合わせ)、または通常のケア/積極的な治療を受けない群に、ランダムにわけられた。

このレビューに含まれた試験では、スケーリングとルートプレーニング(SRP)に追加の治療を行った場合と行わなかった場合があった。追加の治療には、正しい歯磨き方法の指導(OHI:Oral Hygiene Instruction)や、他の歯周病治療(感染症の治療に使われる抗菌薬など)が含まれた。

主な結果

その結果、本レビューに含めるのに適した35件の試験が見つかった。これらの研究のうち34件は、2つの比較のうち少なくとも1つに含めることができる結果であった。

1.14件の試験(1499名の参加者)のエビデンスによると、スケーリングとルートプレーニング(SRP)による治療は、通常のケア/積極的な治療を行わない場合と比較して、ケアを受けてから4ヶ月後までに、糖尿病患者の血糖値を0.29%低下させることが示された。6ヶ月後には、この減少が持続しているというエビデンスはなかった。

2.異なるタイプの歯周病治療法を調査した21件の試験(920人の参加者)では、ある治療法が他の治療法よりも優れているというエビデンスは得られなかった。

副作用を測定した研究は十分ではなく、歯周病治療が有害であるかどうかを示すことはできなかった。

エビデンスの質

現在のところ、スケーリングとルートプレーニングによる治療後4ヶ月までの血糖値のコントロールを支持する質の低いエビデンスがある。血糖値の改善を維持するためには、継続的な歯周病治療が勧められる。

訳注: 

《実施組織》堺琴美、瀬戸屋 希 翻訳[2021.10.11]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004714.pub3》

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