早産児および低出生体重児(またはその両方)の動脈管開存症に対するイブプロフェンによる治療

レビューの論点

本レビューの論点は、インドメタシンや他のシクロオキシゲナーゼ阻害薬、プラセボ、あるいは無介入群と比較して、イブプロフェンを用いた早産児または低出生体重児(またはその両方)における動脈管開存症(PDA)の治療が安全で効果的かどうか、動脈管閉鎖率やその他の重要なアウトカムの観点から検討することである。

背景

PDAは、超早産児(未熟児)や極めて小さく産まれた新生児によく見られる合併症である。PDAでは、肺と心臓の間の動脈路(動脈管)が開存している。動脈管は通常であれば出生後に閉鎖するが、時として児の発達が未熟であるために開いたままになることがあり、生命を脅かす合併症につながる可能性がある。PDAの治療としては通常、インドメタシンという薬により動脈管を閉じる方法がとられ、大多数の新生児において成功を収めている。しかし、インドメタシンの使用は、臓器の血流低下等の重篤な副作用を引き起こす可能性がある。もう一つの選択肢として、イブプロフェンという薬が挙げられる。

研究の特性

PDAを有する早産児(妊娠37週未満で出生した児)、低出生体重児(体重2500g未満の児)、または早産児・低出生体重児を対象としたランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療群のいずれかへ無作為に割り付けられた臨床試験)について、科学データベースを検索した。治療としてはイブプロフェン、インドメタシン、その他のシクロオキシゲナーゼ阻害薬、プラセボ、無治療が同定された。エビデンスは2017年11月30日現在のものである。

主な結果

延べ2843人の乳児を含む39件の研究により、イブプロフェンはインドメタシンと同等の動脈管の閉鎖効果を有し、腎臓への一過性の副作用がより少なく、壊死性腸炎(腸に影響を及ぼす重篤な状態)のリスクが減少することが判明した。長期的な観点で、イブプロフェンが子どもの発達に重大な利益または不利益をもたらすかどうかは不明である。イブプロフェンとインドメタシンのどちらがPDAの治療として好ましい薬であるかを決定するには、生後18ヶ月および就学年齢までのさらなる長期追跡調査が必要であろう。

エビデンスの質GRADE(各アウトカムを裏付ける研究の質をスコア化する方法)によると、エビデンスの質は「非常に低い」~「中程度」と様々であった。重要なアウトカムである、静脈内投与または経口投与によりイブプロフェンとインドメタシンを比較した場合の、動脈管の閉鎖の失敗、動脈管の外科的閉鎖の必要性、人工呼吸器の装着期間、壊死性腸炎、乏尿、血清/血漿クレアチニン値についてのエビデンスの質は「中程度」であった。

訳注: 

《実施組織》森岡敬一朗 翻訳 小林絵里子 監訳[2020.08.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD003481.pub8》

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