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転移性乳癌に対する単剤化学療法と多剤併用化学療法との比較

Background

より良い奏効率を達成する目的で、転移性乳癌の治療として多剤併用化学療法レジメンがしばしば単剤よりも好んで用いられる。しかし、生存率および毒性の両方を考慮した場合に強力な化学療法レジメンであるほど、健康へのアウトカムが良好となるかどうか、また奏効率および無増悪生存率が良好であるほど、全生存が良いと言えるのかどうかは不明である。

Objectives

転移性乳癌治療のための単剤化学療法を多剤併用化学療法と比較する。

Search strategy

2008年11月にCochrane Breast Cancer Group Specialised Registerを検索した。さらに最新の学会予稿集をハンドサーチした。

Selection criteria

転移性乳癌において単剤化学療法を多剤併用化学療法と比較しているランダム化試験。

Data collection and analysis

2名のレビューアが独自に試験の適格性と質を評価し、データを抽出した。報告されたイベント発生までの期間のアウトカムについてハザード比を導き出した。奏効率は二値変数として解析した。毒性および生活の質データがある場合はこれらを抽出した。

Main results

43件の適格な試験(48の比較)を同定した。これらの試験は9,742例の女性を対象とし、このうち55%に転移性乳癌に対してファーストライン治療が施行されていた。全生存については、併用レジメンに有利な統計学的有意差があり、異質性はなかった(HR 0.88、95%CI 0.83~0.93、p<0.00001)。ファーストライン治療に関する試験を解析したところ、また単剤も併用レジメンに含めて解析したところ、結果は非常に類似した。併用レジメンは、生存に関してタキサン単剤よりも統計学的に有意に利益があったが(HR 0.82、95%CI 0.75~0.89、p<0.00001)、アントラサイクリン単剤に対してはそれを上回る利益はなかった(HR 0.94.86~1.02、p=0.15)。併用レジメンは無増悪期間(HR 0.78、95%CI 0.74~0.82、p<0.00001)および腫瘍縮小効果(RR 1.29、95%CI 1.14~1.45、p<0.0001)が有意に良好であったが、両者とも異質性が統計学的に有意であり、おそらく参加者および介入の臨床的多様性によるものと思われた。併用レジメンが投与された女性では、白血球数、脱毛症増加、悪心・嘔吐に対して統計学的に有意な有害作用がみられた。

Authors' conclusions

転移性乳癌の女性に対する多剤併用化学療法レジメンは生存、腫瘍縮小効果、無増悪期間に統計学的に有意な利益を示すが、より多くの毒性が引き起こされる。併用レジメンが単剤の逐次投与よりも有効であるかどうかについては依然として疑問が残る。

訳注

Translated by: MINDS

Translation supported by:

Citation
Carrick S, Parker S, Thornton C, Ghersi D, Simes J, Wilcken N. Single agent versus combination chemotherapy for metastatic breast cancer. Cochrane Database of Systematic Reviews 2009, Issue 2. Art. No.: CD003372. DOI: 10.1002/14651858.CD003372.pub3.