認知症治療としてのメマンチン

レビューの論点

認知症治療薬のひとつであるメマンチンに関するエビデンスをレビューした。メマンチンが認知症の進行を遅らせたり、それがなんらかの形で害になる可能性を突き止めようとした。また、メマンチンと認知症治療の他の薬剤を併用することで追加される薬の効果があるかどうかも明らかにした。

背景

最も多い認知症のタイプはアルツハイマー型認知症 (AD)、次いで脳血管型認知症となっている。65歳の100人に1人ないし2人はアルツハイマー型認知症を発症しており、年齢が5歳上がるごとにその割合は倍になっている。認知症は記憶を失い、思考が難しくなり、しばしば、性格や行動が変化する。

認知症には主に2種類の治療薬があり、アセチルコリン阻害薬 (ChEl) と、メマンチンである。これらの薬剤は異なった作用をもち、両薬剤を使用することはアセチルコリン阻害薬 (ChEl) のみを使用するよりも効果がある可能性を発見した。

研究の特性

信頼できる研究デザイン(ランダム化比較試験)があり、認知症の種類ごとにメマンチンとプラセボを比較した関連研究を検索した。本レビューでは10,000人の対象者を含む44件の臨床試験を特定した。ほとんどの試験での対象者 (29件の臨床試験における7,885人)はアルツハイマー型認知症であった。ほとんどの研究はうまく実施されていたが、いくつかは十分に報告されておらず、製薬会社から追加の情報を得た。軽度認知症の人と、中等度から重度の認知症の人の結果を別々に分析した。

主な結果

メマンチンは中等度から重度にかけてのアルツハイマー型認知症患者では、わずかに有効性があった。この利益は、思考、通常の日常活動を続ける能力、および行動の深刻さや気分の問題に影響する。全体的に、中等度から重度のアルツハイマー型認知症の人では許容性は高いが、メマンチンを服用している一部の人ではめまいを引き起こす可能性がある。

重要な結果は、アセチルコリン阻害薬を用いた治療にメマンチンを追加すると、プラセボよりも悪化が少ないことである。

しかし、軽度アルツハイマー型認知症の人では、メマンチンはおそらくプラセボよりも優れていない。これは、主に中等度の質のエビデンスである。

血管性認知症では、約750名を対象とした2件の研究で、思考の難しさ、行動、気分におそらくわずかな効果があり、プラセボと比較してメマンチンの動揺が少ないことが示された。これは中等度または低度の質のエビデンスである。

エビデンスの質
全体として、ADに対するメマンチンに関するエビデンスの質は高度であり、数千人規模の多くの臨床試験から得られている。ADでの結果には信頼性があるが、他のタイプの認知症の人には確証がない。

この平易な要約は2018年3月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》 冨成麻帆、小林絵里子 翻訳 [2020.03.21] 《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD003154.pub6》

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