人口の高齢化に伴い、記憶障害や認知症の可能性のある高齢者が増えている。認知症の高齢者を特定することは、必要なケアの計画や認知症に特化した治療の開始を支援するためにも重要である。認知症を診断するために、医療従事者やその他のサービス提供者は、記憶力などの認知機能のテストと、その他の調査を組み合わせて行う。Mini-Cogのような簡単な記憶力テストは、認知症かどうかを判断するためにさらなる評価が必要な人たちを特定するためのスクリーニングテストとして有用である。Mini-Cogは、高齢者が3つの単語を思い出したり、時計を描いたりする能力を評価する簡単な認知機能テストである。このレビューでは、医学文献データベースを検索し、Mini-Cogが認知症の専門家による詳細な評価と比較して、認知症の人とそうでない人をどの程度区別できるかを評価した研究を特定した。今回のレビューでは、地域在住の環境で実施された研究に焦点を当てた。Mini-Cogを評価した3つのランダム化比較研究を発見した。これらの研究では、Mini-Cogの精度にばらつきがあり、重要なのは、Mini-Cogの精度の過大評価につながる可能性のある研究内のいくつかの潜在的な限界があったということである。今回の調査で得られた情報をもとに、地域在住の環境における認知症の識別にMini-Cogを日常的に使用することを推奨するには、Mini-Cogの精度に関するさらなる研究が必要であると考えた。
《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2021.07.28]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010860.pub3》