認知症をはじめとする記憶や思考の問題を抱える人の数は、世界的に増加している。認知症の早期診断が推奨されているが、最良のアプローチや、認知症以外の専門家がどのように患者を評価すべきかについては合意が得られていない。対象者の友人や家族にインタビューを行い、記憶力やその他の思考能力の変化を評価するという方法がある。この「付随的」なインタビューには様々な方法があるが、最もよく使われているのは「Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)」と呼ばれるものである。IQCODEの認知症検出精度に関連するすべての論文について、発表された研究の異なるデータベースを検索した。IQCODEの診断精度をプライマリーケア/一般診療の場で検証した研究は1件しか見つからなかった。本研究は選択された集団(日系アメリカ人)を対象としているため、他の国の患者には適用できない可能性がある。また、使用された研究方法や報告された結果にも問題があった。この単一の研究に基づいて、IQCODEがプライマリーケアにおける認知症評価としてどの程度機能するかについて指針を示すことはできない。記憶や思考に問題がある患者さんの多くは、まず一般開業医や家庭医に相談するため、この分野ではさらなる研究が必要である。
《実施組織》 阪野正大、堺琴美 翻訳[2021.08.05]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010771.pub3》