口腔癌および咽頭癌への化学療法

口腔(口の)がんはたいてい早期に発見され、手術や放射線療法によって治療される。口腔咽頭(喉の)がんは発見時には進行しており、放射線療法で治療される。両治療法とも外観が損なわれたり、食べる、飲む、話すなどの能力が低下するかもしれない。放射線療法に加えて(可能であれば、手術も)、化学療法(がん細胞を殺す薬)による治療は生存期間を延長する。放射線療法と化学療法の併用は、放射線療法の前に化学療法を行うよりも効果的であり、手術の必要性を減らすかもしれない。化学療法を用いた場合、すべての生存期間の改善は8%から22%であると推定される。化学療法と放射線療法の組み合わせによる、さらなる副作用(吐き気、嘔吐、下痢、脱毛や感染)は測定されていない。

著者の結論: 

口腔癌および口腔咽頭癌患者に対し、放射線療法や外科療法とともに化学療法を行うことは、全生存期間の向上と関連している。導入化学療法は生存期間の8~20%の向上に、付加的化学療法を外科療法と同時に行うことは、外科療法後の全生存期間の16%の向上に関連している。切除不能な担癌患者において、化学療法を放射線療法と同時に行うことは、放射線療法単独実施に較べ、全生存期間に10~22%の利益をもたらした。化学療法の効果と害についてのエビデンスは不十分で、外科療法や放射線治療との併用を含めて、適切なレジメはわかっていない。

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背景: 

口腔癌および口腔咽頭癌は、口腔癌ないし頭頚部癌の一部としてしばしば論じられる。口腔癌の治療は一般に外科療法およびそれに続く放射線療法である。これに対し、口腔癌に較べ診断時点で進行していることが多い口腔咽頭癌は、放射線療法や化学療法によって治療される。口腔癌に対する外科療法は、顔貌の変形をきたすことがあり、外科療法および放射線療法はともに、たとえば、飲食や会話の能力が著しく障害を受けるといった生体機能上の深刻な副作用をきたす。新しい化学療法剤の開発、化学療法剤使用の新しい組合せ、外科療法・放射線療法・化学療法実施タイミングを相対的に変化させることは、このカテゴリーの患者の生存および生活の質をともに向上させる可能性がある。

目的: 

口腔癌および口腔咽頭癌に対する放射線療法、外科療法を単独応用あるいは併用した上での化学療法が、生存・無病生存・無進行生存期間の向上、局所領域的な制御の向上および再発率の減少に寄与するかどうかを決定すること。各療法の導入、併用か追加適用かといった管理についてどの方略およびどのタイミングが、結果の向上と関連するかを決定すること。

検索方法: 

The Cochrane Oral Health Group's Trials Register、CENTRAL、 MEDLINE、EMBASE、AMED の電子的検索が、2010年12月1日に実施された。最近のレビューや新しく加えられた研究についての参考文献リストも、さらなる試験を同定するために検索された。

選択基準: 

以下の条件を満たすランダム化比較試験が検索に含められた。50%を超える参加者が、口腔あるいは口腔咽頭に原発性腫瘍を有していること。放射線療法あるいは外科療法の単独あるいは併用に加え、化学療法を実施による治療効果が比較されているか、2種類以上の化学療法剤の投与あるいは投与形式の比較がなされていること。

データ収集と分析: 

89の試験が基準にあった。リスクオブバイアスの評価は、2人以上の著者が行った。主要評価項目は生存率。試験の著者には、追加情報を得るためにコンタクトした。

主な結果: 

25件の試験において、導入化学療法は、局所領域的治療のみ行った場合と比較して、全生存の統計学的に有意な改善は見られなかった(死亡についてのハザード比は 0.92、95%信頼区間は 0.84~1.00)。10件の試験において、外科療法後の付加的化学療法は、外科療法単独あるいは外科療法・放射線療法併用と較べ、全生存の改善がみられ(死亡ハザード比は 0.88、95%信頼区間は 0.79~0.99、P = 0.03)、さらにこれらのうち4件の試験において、放射線療法に付加的に化学療法を同時施行をすることは、放射線療法のみ実施する場合に較べ、追加利益が認められた(死亡ハザード比は 0.84、95%信頼区間は 0.72~0.98、P = 0.03)。26件の試験において、腫瘍が切除不能と判断された患者群において、化学療法を放射線療法と同時に実施することは、放射線療法単独と比較して、生存期間の改善をきたした(死亡ハザード比は 0.78、95%信頼区間は 0.73~0.83、P < 0.00001)。これらの研究結果は、risk of biasの低い研究の感度分析により支持されている。どの化学療法剤や治療法が最も効果的なのかを確認したエビデンスは不十分である。併用療法において、化学療法を併用することに起因する毒性がどれくらい上乗せされるかについては、これまでのところ定量化がなされていない。

訳注: 

(翻訳 岡村和彦・監訳 豊島義博;JCOHR) Minds翻訳公開日:2011年11月11日 ご注意:この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。なお、コクラン・ライブラリは年12回改定版が発行されます。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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