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早発卵巣不全の女性には、どのホルモン療法がより効果的か?

要点

さまざまなホルモン療法を比較検討した研究は、3つの異なる内容で実施されたものが3件しか見つからなかった。

これらの小規模な研究のデータに基づいた結果、明確な結論を出すことはできなかった。

早発卵巣不全の女性が健康な妊娠をする可能性を高めるために、最適なホルモン療法を調べることを目的とした、適切に実施され、十分に大規模な試験が必要である。

早発卵巣不全とは何か?

卵巣は、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどのホルモンに反応し、またこれらのホルモンを生成する性腺であり、左右に一対ある。骨、心臓、生殖に関する健康にとって、重要な役割を担っている。早発卵巣不全は、卵巣が正常なホルモンを分泌できなくなる状態で、女性の約1%が罹患する。その結果、骨折や心臓病、不妊症のリスクが高まる。16歳までに初経(初潮)を迎えなかったり、40歳までに6ヶ月以上月経(生理)が来なかったりすると、早発卵巣不全と診断されることがある。また、卵巣の働きに関係する各種ホルモンの値に異常があるかどうかを確認するために、血液検査が必要になる。

早発卵巣不全はどのように治療するのか?

早発卵巣不全は、一般的に、正常に働いている卵巣から分泌されるホルモンを模倣したホルモンを用いたホルモン療法で治療される。治療の目的は、骨、心臓、血管および生殖機能への悪影響を是正することである。治療では、異なる用量のホルモンを、経口薬、皮膚に貼るパッチ剤、注射、腟錠のいずれかの用法で投与する。

何を調べたかったのか?

早発卵巣不全になった女性が赤ちゃんを産めるような、最適なホルモンの組み合わせを同定することを目指した。また、早発卵巣不全の治療に使われるホルモン治療の副作用も調べた。

このレビューで行ったことは何か?

標準的なコクラン方式で研究を検索し、研究結果を比較・要約し、研究方法や研究規模などの要素に基づいてエビデンスに対する信頼度を評価した。

何が分かったか?

早発卵巣不全の女性が計52人含まれた3件の研究を特定した。どのホルモン療法も、他の療法と比較した場合の効果は不確実であった。

エビデンスの限界は何か?

主な限界は、研究数が少なく、各研究で対象となった女性の数が非常に少ないことである(各研究に参加した女性の人数は12人から20人であった)。

このレビューの更新状況

エビデンスは2021年9月現在のものである。

訳注

《実施組織》 杉山伸子、小林絵里子 翻訳 [2022.11.17]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008209.pub2》

Citation
Craciunas L, Zdoukopoulos N, Vinayagam S, Mohiyiddeen L. Hormone therapy for uterine and endometrial development in women with premature ovarian insufficiency. Cochrane Database of Systematic Reviews 2022, Issue 10. Art. No.: CD008209. DOI: 10.1002/14651858.CD008209.pub2.