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脳卒中および一過性脳虚血発作に対する早期再発防止のための抗血小板薬の複数使用と単剤使用の比較

レビューの論点

脳卒中を発症した後の早期再発予防には、抗血小板薬の数が多いほうが少ないよりも良いのか?

背景

脳卒中は、世界で2番目に多い非伝染性疾患であり、再発のリスクが高い。再発の多くは脳卒中の後に早期発症し、再発を防ぐためには効果的な治療が必要である。現在のガイドラインでは、脳卒中や一過性脳虚血発作(軽度脳卒中)の後には、アスピリンなどの抗血小板薬を使用することが推奨されている。しかし、脳卒中を発症した後の早期に、複数の抗血小板薬を使用することの安全性と有益性は明確に確立されていない。

研究の特性

脳卒中を発症した後の早期に、複数の抗血小板薬を使用する場合と、単剤で抗血小板薬を使用する場合を比較した。エビデンスは2020年7月6日までのものである。対象となったのは15の臨床試験で、アジア、ヨーロッパ、北米のさまざまな集団から合計17,091人が参加した。調査された最も一般的な抗血小板薬の組み合わせは、アスピリンとジピリダモール、およびアスピリンとクロピドグレルであった。

主な結果

その結果、複数の抗血小板薬は単剤で使用する抗血小板薬に比べて、脳卒中の再発リスクを減少させるが、出血のリスクを増加させることが明らかになった。2種類の抗血小板薬は、1種類の抗血小板薬よりも脳卒中の早期再発を予防する効果があるようだが、副作用、特に出血のリスクが高まる。脳卒中発症の直後に開始された抗血小板薬の併用に関する効果は、最初の1ヶ月間はリスクを上回るようである。

エビデンスの確実性

エビデンスの確実性は、おおむね中程度または高いものであった。

訳注

《実施組織》冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.05.16]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009716.pub2》

Citation
Naqvi IA, Kamal AK, Rehman H. Multiple versus fewer antiplatelet agents for preventing early recurrence after ischaemic stroke or transient ischaemic attack. Cochrane Database of Systematic Reviews 2020, Issue 8. Art. No.: CD009716. DOI: 10.1002/14651858.CD009716.pub2.