経済的利益相反と結果、結論、系統的レビューの質

患者の治療はしばしば臨床研究に基づいている。系統的レビューは、このような臨床研究の中核的なタイプである。類似した試験(すなわち、同じ研究課題を同じ方法で調査する試験)がいくつか実施されている場合には、それらを特定し、系統的レビューの中で分析することができる。系統的レビューは、既存の研究を要約し、特定の研究分野の概観を提供する。したがって、系統的レビューは患者ケアに関する決定に大きな影響を及ぼす可能性があり、そのようなレビューが信頼できるものであることが不可欠である。

系統的レビューは、レビューの結果や結論に関して経済的な利害を持つ企業から資金提供を受けていることがある。例えば、それらの企業はレビューで調査された医薬品や機器を製造しているからである。別の場合には、特定の結果に関して個人的な経済的利害を持つ研究者によって系統的レビューが実施される。例えば、研究者がレビューで評価される介入を行う企業のコンサルタントとして活動する場合である。こうした経済的利益相反は、系統的レビューの実施方法と報告の方法に影響を与える可能性がある。Cochrane Methodology Reviewでは、系統的レビューの中で、製薬企業やデバイス企業に関連する経済的利益相反に焦点を当てている。本研究の主な目的は、経済的利益相反のある系統的レビューが、経済的利益相反のない系統的レビューよりも、どの程度、介入に関して有利な結果や結論を出しているかを調査することであった。第二の目的は、経済的利益相反のある系統的レビューが、経済的利益相反のない系統的レビューと比べて、レビューの方法論的品質に関してどの程度異なるかを調査することである。

経済的利益相反がある系統的レビューと経済的利益相反がない系統的レビューを比較した10の研究を見出した。これらの研究のうち2つに基づいて、経済的利益相反のある系統的レビューとない系統的レビューとの間でレビュー結果に差があるという証拠は認められなかった。7つの研究に基づいて,著者らは,経済的利益相反を伴う系統的レビューは,介入に有利な結論をより頻繁に有することを見出した(リスク比(RR):1.98,95%信頼区間(CI):1.26~3.11)。また、4つの研究によれば、経済的利益相反を伴う系統的レビューは、方法論的な質が低い傾向があった(方法論的品質の11次元のRRは1.0から1.83に及ぶ)。

我々の分析によれば、系統的レビューが製薬企業やデバイス企業に関連した経済的利益相反を伴う場合には、方法論的な質が低く、介入に関してより好ましい結論が得られることが示唆される。しかし、これがレビュー結果の実際の相違によるものなのか、それとも結果の過剰な解釈によるものなのかは明らかではない。著者らの知見に基づき,患者,臨床医,臨床ガイドラインの開発者,および将来の研究の計画者を含む系統的レビューを使用する人々は,経済的利益相反を持たない系統的レビューを主に利用できることを示唆する。そのようなレビューが利用できない場合、利用者が経済的利益相反のある系統的レビューを読んだり解釈したりする際には特に注意深くあることを我々は提案する。

訳注: 

《実施組織》阪野正大、 増澤祐子 翻訳[2019.12.11]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《MR000047》

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