治療効果の偏った推定に対する予防策としてのランダム化比較試験

ランダム化比較試験randomised controlled trials(RCT)は、選択バイアスを防ぐため参加者を対象群に割り付ける際に偶然の成り行きを使用する。治療を割り付ける他の手段は、使用する治療に関する決定が医師または患者の嗜好に影響を受ける可能性があるため、偏りを生じやすい。このレビューでは、ランダム割り付け (無作為な方法を使用して治療に割り付けられる方法) と非ランダム割り付け (臨床的判断が関与していない交互、または外部の制御不能な要因を使用して治療に割り付けられる方法) を比較し、また、割り付けの隠蔽が適切に実施された比較試験と割り付けの隠蔽が不十分/不明確に実施された比較試験と比較する。隠蔽された治療の割り付けは、比較試験におけるグループ割り付けを介入実施前に知ることを防ぐために使用されるプロセス(例えば、連続番号が記載された不透明な密封された封筒の使用など)として一般的に説明される。

ランダム化試験と非ランダム化試験の結果は、時には異なる。時には非ランダム化試験がより大きな効果推定値をもたらし、時にはランダム化試験がより大きな効果推定値をもたらす。一方、ランダム割り付けの隠蔽を実施しないと、より大きな効果推定値がもたらされたが、同等の効果推定値が生じる場合(有害から有益、またはその逆)もある。ランダム割り付けの予測不可能性が、非ランダム化試験がどの程度偏っているかに関する予測不可能性に対する最良の予防策であるというのはパラドックスである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、 季律 翻訳[2020.04.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000012.pub3》

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