持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法以外の治療法の利点とリスクは何か?

要点

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療法について調査した研究は非常に少ない。今回、脳への電気刺激(経頭蓋直流電気刺激法)の使用について評価した、非常に小規模な研究が1件のみ見つかった。

この病気に対してどのような治療が有効か、また、治療が有害事象を引き起こすかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。

PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か?

PPPDは、めまいやふらつきの症状を伴い、特に立ち上がる時や動き回る時、あるいは視覚刺激(複雑な模様や動きのある映像など)が多い場合に悪化する疾患である。

PPPDはどのように治療されるのか?

PPPDの症状を改善するために、薬剤を用いる場合がある。また、前庭リハビリテーションと呼ばれる理学療法や、対話療法なども行われる。

何を知りたかったのか?

以下の項目について明らかにすることを試みた:

- 薬物療法以外の治療がPPPDの症状の改善に有用であるというエビデンスがあるかどうか

- これらの治療が何らかの有害作用をもたらす可能性があるかどうか

何を行ったのか?

異なる種類の治療(薬物療法を除く)に対し、治療を行わなかった場合、または偽の治療を行った場合(プラセボ)と比較した研究について検索を行った。

何を見つけたのか?

PPPDに対する経頭蓋直流電気刺激法の効果について調査した小規模な研究が1件見つかった。この治療法は、頭皮の表面につけた小さな電極を通して、脳に弱い電流を流す方法である。この研究では、参加者に治療装置が配布され、週に5回、3週間にわたって、自宅で治療が行われた。

この研究では、治療の潜在的な有害性について、また、めまいに関連した生活の質(QOL)に対する影響についての評価が行われていたが、研究が非常に小規模であったため、この治療法がPPPDの症状に対して効果があるかどうか、また、治療に伴うリスクがあるかどうかは不明であった。

エビデンスの限界は何か?

PPPDに有効な治療法があるかどうか、またその治療に有害性があるかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。

本エビデンスはいつのものか?

2022年11月時点におけるエビデンスである。

訳注: 

《実施組織》小泉悠、瀬戸屋希 翻訳[2023.07.09]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD015333.pub2》

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