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3剤併用吸入療法とは何か、どのような場合に使用され、喘息にどのような効果をもたらすのか。

喘息の管理に吸入はどのように使用されるのか。

喘息の管理には、重症度に応じて段階的な一連の治療が必要である。初期治療は、通常、必要に応じて短時間作用型吸入薬を使用し(ステップ1)、必要に応じて喘息のコントロールを改善するために低用量から中用量の吸入ステロイド薬を毎日追加する(ステップ2)。その後、必要に応じて吸入ステロイドに加え、気道の通路を拡張・弛緩させて呼吸の苦しさを軽減する長時間作用型β(ベータ) 2 刺激薬(LABA)と呼ばれる気管支拡張薬を使用するのが一般的である(ステップ3、4)。

吸入ステロイドとLABAの併用で喘息がコントロールできない場合、どのような選択肢があるか。

現在のガイドラインでは、中用量吸入ステロイドとLABAの2剤併用吸入療法で喘息がコントロールできない場合、高用量の吸入ステロイドを使用するか、または長時間作用型抗コリン薬(LAMA)という別の気管支拡張薬の追加(すなわち3剤併用吸入療法)を行うことが推奨されている(ステップ5)。

本レビューにおける疑問に、どのように答えたのか。

コントロールされていない喘息を抱えた青年と成人の計17,161人を含む17件の研究からデータを収集し、ネットワークメタ解析という特殊な方法を用いて、複数の吸入療法の群を同時に比較することができるように分析した。

わかったこと

吸入ステロイド+LABA+LAMAの3剤併用吸入療法は、喘息の再燃を抑制するが、喘息による入院を減少させない。中用量3剤併用療法ではなく、高用量3剤併用療法は、吸入ステロイド+LABAの2剤併用療法と比較して副作用が少なく、忍容性が高いと思われる。

3剤併用療法は2剤併用療法に比べて症状や生活の質の値を改善する可能性があるが、実感できるほどではない。

中用量より高用量の吸入ステロイドの2剤併用吸入療法が、より多くの利益や害をもたらすことはないと思われる。

結論

3剤併用吸入療法、特に高用量製剤は、2剤併用療法と比較して、喘息の再燃を抑え、副作用も少ないため忍容性が高いと考えられる。

3剤併用吸入療法は、2剤併用吸入療法と比較して、症状や生活の質を改善する可能性もあれば、しない可能性もある。

吸入ステロイドの強度を中用量から高用量に上げることは、3剤併用療法では有益と思われるが、2剤併用療法ではおそらく効果を期待できないと思われる。

喘息症状のコントロールが不十分な場合や、中用量2剤吸入療法を行っているにもかかわらず喘息による入院が必要な場合は、注射薬である免疫調整剤やその他の選択肢を検討することがある。

訳注

《実施組織》 伊東真沙美、堺琴美 翻訳 [2023.02.05]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013799.pub2》

Citation
Oba Y, Anwer S, Maduke T, Patel T, Dias S. Effectiveness and tolerability of dual and triple combination inhaler therapies compared with each other and varying doses of inhaled corticosteroids in adolescents and adults with asthma: a systematic review and network meta-analysis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2022, Issue 12. Art. No.: CD013799. DOI: 10.1002/14651858.CD013799.pub2.