中絶時、または経過観察時の子宮内避妊システムの挿入

レビューの論点

中絶時に子宮内避妊システム(IUS)を挿入した場合と、中絶後の経過観察時に挿入した場合の開始率、効果、副作用を比較した。

背景

子宮内避妊システムは、可逆的で長期間妊娠を防ぐことができる、非常に有効な避妊方法である。この方法は、手術や子宮内容物の排出によって妊娠が終了した女性も含め、ほとんどすべての女性に適している。多くの女性が中絶後に経過観察のための診察を受けず、避妊の普及率も低いため、中絶の診察時に子宮内避妊システムを挿入することは、検討に値する有望なアプローチと言える。

研究の特徴

2021年3月までのランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のいずれかにランダムに割り付ける試験)を検索した。中絶のための診察時に子宮内避妊システムを挿入することと、経過観察のために女性が受診した時に挿入することで、この避妊法の使用に影響が出るかどうかを調べた。中絶後に子宮内避妊システムで避妊することを選択した女性計1,162人を対象に、中絶時または経過観察時の挿入に割り付けた3件の研究を対象とした。

主な結果

子宮内避妊システムを中絶時に挿入した場合、子宮内避妊システムの使用率が高くなる可能性がある。中絶時の挿入はおそらく子宮内避妊システムの開始を改善することを示唆するエビデンスがある。一方、中絶時に挿入することで、6か月後の使用率が若干上がるかもしれない。薬による中絶の全体的な失敗率や中絶後1か月の出血の副作用については、中絶時の挿入と経過観察時の挿入とでほとんど差がないように思われた。また、子宮内避妊システムを中絶時に挿入することで、中絶後6か月以内の意図しない妊娠率がおそらく減少することを示すエビデンスもある。

エビデンスの確実性

エビデンスの確実性は、全体的に中等度から非常に低度であった。さらに質の高い、よく設計されたランダム化比較試験により、中絶後6週間以内に挿入した場合と比較して、中絶のための診察時に子宮内避妊システムを挿入した場合の意図しない妊娠の割合や副作用について、意味のある結果が得られるであろう。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、杉山伸子 翻訳[2022.05.26]《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013565.pub2》

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