嚢胞性線維症患者の姿勢異常に対する理学療法

レビューの論点

嚢胞性線維症患者の姿勢異常に対する理学療法の効果についてエビデンスをレビューした。

背景

嚢胞性線維症は、身体の臓器、特に肺に問題を引き起こす遺伝的な疾患である。最近では、疾患が進行することで、姿勢異常が生じることがあると言われている。脊柱につながる筋のストレッチや筋力強化を行う理学療法の中には、嚢胞性線維症患者の痛みや、生活の質の改善に役立つものがあるかもしれない。

調査期間

エビデンスは2020年3月19日現在のものである。

研究の特性

本レビューには、嚢胞性線維症および姿勢異常と診断された17~58歳の50名の参加者を対象とした2つの研究が含まれた。研究には、徒手療法(筋肉のリラクゼーションと、マッサージや脊椎のモビライゼーションにより、脊柱の可動性を促す全ての理学療法)と通常のケア(これまで受けていた通常の治療)を比較した。参加者は無作為に各治療群に配置された。1件の研究では入院患者に20日間、2件目の研究では外来患者に3ヶ月間行われた。両研究ともアウトカムのほとんどが報告されていた。

主な結果

研究では、体幹変形の変化に対して、徒手療法と通常のケアとの間に違いは見られなかった。生活の質や、痛みのスコアの評価スケールが多種多様であったために、結果を組み合わせることができなかった。肺機能については、徒手療法と普段のケアの違いは見つからなかった。1件の研究(参加者15名)のみで歩行距離について、通常のケアよりも徒手療法で良い結果が得られたようだが、大きな幅があったため明瞭な結果とは言えなかった。1件の研究では、徒手療法グループの参加者は受けた治療を楽しんでおり、アドヒアランスも高かったと報告されている。副作用が報告された研究はなかった。

エビデンスの質

全体的に、考慮されたすべてのアウトカムにおいて、エビデンスの質は低いか、非常に低いものしかなかった。エビデンスの質の低いとは、徒手療法の効果に対する信頼性には限界があり、実際の効果は大きく異なる可能性があるということである。参加者がどの治療を受けているかを知っていたため、生活の質の変化、痛みの変化、肺機能の変化の結果に影響を与えたかもしれないと考えられるが、他の結果には影響を与えないかもしれない。そのため、姿勢異常の治療に重要と考えているアウトカムを徒手療法が改善することについては、まだ信頼性がない。

訳注: 

《実施組織》堀本佳誉、阪野正大 翻訳[2020.08.08]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013018.pub2》

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