アルコール使用障害のためのアルコホーリクス・アノニマス(AA)をはじめとする12ステップ・プログラム

レビューの論点

このレビューでは、飲酒問題を抱える人々が断酒を継続したり、アルコール消費量や飲酒に関連する結果を減らしたりするのに役立つかどうかを調べるために、アルコホーリクス・アノニマス(AA)と類似した12ステップ・ファシリテーション(TSF)プログラム(AA/TSF)を、他の治療法と比較した研究をまとめた。また、AA/TSFが他の治療法と比較して、医療費を削減できるかどうかも調べた。

背景

アルコール使用障害(アルコール依存症)は、世界的に、個人および公衆衛生上の問題となっている。その治療費は高い。AAは、アルコール依存症からの人々の回復と生活の質の向上を支援する無料の相互扶助の共同体で、広く普及している。

検索期間

本エビデンスは2019年8月2日現在のものである。

研究の特徴

その結果、10,565人の参加者を含む27件の関連研究が見つかった。研究のデザインは多岐に渡り、治療が標準化(マニュアル化)された手順に沿って行われたかどうか、AA/TSFが、異なる理論的根拠を持つ治療法(例:認知行動療法(CBT))と比較されたか、あるいは異なるタイプのTSF(例:AAのTSFとはスタイルや強度が異なるもの)と比較されたかどうかなどが、研究によって異なっていた。

研究の資金源

含まれた研究は、米国国立衛生研究所(18件)、米国退役軍人省(8件)、およびその他の組織(民間の財団や学術機関など、8件)から1つ以上の助成金を受けていた。資金源を報告していない研究が2件あった。

主な結果

マニュアル化されたAA/TSFの介入は、通常、調査された他の確立された治療法よりも高い継続的断酒率を示した。マニュアル化されていないAA/TSFは、他の確立された治療法と同等の結果であった。

AA/TSFは、特に長期的にみて、禁酒日数の割合を増加する点で、他の治療法よりも優れている可能性がある。AA/TSFは、(アルコールの)飲酒の強度を下げる点で、おそらく他の治療法と同じくらいの効果がある。AA/TSFは、アルコール関連の結果や依存症の重症度に対して、おそらく他の治療法と同等の効果がある。5つの経済学研究のうち4つで、AA/TSFのコスト削減効果が大きく認められており、AA/TSFの介入が医療費を大幅に削減する可能性を示している。

結論として、AAへの参加を増やすように設計された臨床的に行なわれたTSF介入は、その後の数ヶ月から数年の間に、より高い継続的な断酒率を生み出すという点で、通常より良い結果につながる。この効果は主に、TSFの介入が終わった後もAAの参加を促進することで得られる。AA/TSFはおそらく、断酒を改善すると同時に、大幅な医療費の節約をもたらすだろう。

エビデンスの確実性

エビデンスの確実性は、それぞれの結果について非常に低いものから高いものまであった。確実性の高いエビデンスのほとんどは、信頼性の高い研究デザイン(ランダム化比較試験)と優れた測定方法を用いた研究の結果に基づいていた。一部のエビデンスは確実性が低いと考えられたが、その理由の一つは、研究対象者がどの治療を受けるかを決定する方法が不十分で、治療以外の要因が結果に影響を及ぼす可能性があったためである。また、参加者の臨床的特徴の違い、追跡期間の違い、特定の結果に対する参加者の想起の誤り、介入期間の違い、セラピストの効果などにより、研究間でエビデンスに一貫性がないものがあった。いくつかの研究では、サンプル数が少ないため、禁酒期間の長さの推定値が正確ではなく、1日あたりの飲酒量の推定値に高いばらつきがあった。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、瀬戸屋希 翻訳[2021.3.31]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012880.pub2》

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