特発性過眠症の人の日中の眠気に対する薬物療法

レビューの論点
特発性過眠症の人の昼間の眠気に対するさまざまな薬剤の効果に関するエビデンスをレビューした。

背景
特発性過眠症という、日中に強い眠気に襲われ、時には非常に長い時間眠ってしまい、目が覚めて考えたり集中したりすることが困難になる病気の人の治療に役立つ薬を知りたいと思った。現在のところ原因が不明であることから、「特発性」過眠症と呼ばれている。日中の眠気などの症状に効く薬を調べたいと思った。特発性過眠症に対するあらゆる薬を、プラセボ(ダミーの薬)や他の治療法と比較して検証した研究を探した。

検索期間
エビデンスは2021年2月現在のものである。

研究の特性
3件の研究を確認した。モダフィニルを対象とした試験が2件、クラリスロマイシンを対象とした試験が1件あった。

モダフィニルを用いた2件の研究では、合計102名の特発性過眠症患者が対象となった。これらの人々のほとんどは、1日の睡眠時間が10時間未満だった。いずれの研究も、複数の睡眠専門クリニックの患者を対象としていた。1件はドイツで、もう1件は日本で行われた研究だった。いずれの試験も、モダフィニルとプラセボを比較したもので、試験期間は3週間、試験結果に商業的利益を有する製薬会社から資金提供を受けていた。

クラリスロマイシンを用いた試験では、米国の1つの睡眠クリニックから合計20人の被験者が参加し、そのうち10人は特発性過眠症だった。特発性過眠症の10人の情報のみをレビューに含めた。本試験では、クラリスロマイシンとプラセボを比較した。調査期間は5週間だったが、最初の2週間の情報のみを掲載した。その研究は、慈善団体であるAmerican Academy of Sleep Medicine Foundationから資金提供を受けていた。

主な結果
モダフィニルは、睡眠実験室でのテストにおいて、眠気と覚醒する能力を改善した。モダフィニルは、おそらく特発性過眠症の重症度、疲労感、日中のパフォーマンスなどを総合的に改善する。モダフィニルは、頭痛や吐き気などの胃の症状を引き起こす可能性がある。

クラリスロマイシンが特発性過眠症の日中の眠気などの症状を改善するかどうかは不明である。このレビューに含まれる情報によると、クラリスロマイシンとプラセボの間に副作用の違いがあるかどうかは不明である。

エビデンスの質
3件の研究のエビデンスの全体的な質は、結果と研究対象の薬剤に応じて、高から低の範囲であると判断した。3件の研究どれも良好に実施された。これらの研究は小規模なものであった。特発性過眠症の薬物治療を検証した研究はほとんどなかった。特発性過眠症の治療にどの薬が最適であるかを明確にするには、さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2021.06.02]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012714.pub2》

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