慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者が身体的に活発になるように促す最も効果的な方法は何か

背景

体を動かすことは誰にとっても健康のために重要である。COPD患者にとってはそれが特に難しい場合があり、身体活動を増やすために最もよい方法は明らかになっていない。

試験の特徴

本レビューは研究76件、8,018人のCOPD患者を対象としている(2019年6月27日時点)。ほとんどの研究が政府機関の補助金を、いくつかは医療機器メーカーまたは製薬会社から資金提供を受けていた。多くの介入戦略が開発されており、さまざまな研究がさまざまな方法で身体活動を測定していた。つまり、調査結果を比較して組み合わせるのは困難であった。また、一部の介入では具体的に何が行われていたのか、ひいては身体活動を増やすためにどの要素が重要であったのかを正確に把握することも困難であった。

主な結果

一部の研究では、呼吸リハビリテーションやさまざまな種類の運動トレーニング、自己管理や教育など、COPD患者に対する現在の介入について検討していた。他の研究では、特別な種類の栄養補助食品、酸素療法、手術、筋肉電気刺激および歌唱(歌を歌うこと)について検討していた。

効果があった介入のなかには、運動トレーニング、身体活動カウンセリング、およびCOPD投薬が含まれていたものもあった。いくつかの研究から、試験参加者が毎日いつもより長くまたは多く歩く(歩数を増やす)ことに加えて、少なくとも中等度から強度の身体活動を6〜24分追加していたことがわかった。ただし、これらのアプローチをいつどのように使用すべきかについては、まだ明らかでない。介入が終了した後も患者を追跡した研究はごくわずかであった。長期的に身体活動を増加させるためにはまさに何をする必要があるのか、つまり健康増進に必要とされるかもしれないものとは何かは明確ではない。

エビデンスの質

エビデンスの質は全般的に低く、これは研究で患者が何をしたかを正確に把握するのが困難であること、および各種の介入を検討した研究が1件のみであることが多く、そのような研究(かなり小規模な研究もある)が多数あったためである。したがって、そのような結果を全COPD患者に適用することは困難であった。

訳注: 

《実施組織》岡本一紀、ギボンズ京子 翻訳 [2020.05.03] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD012626.pub2》

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