薬剤抵抗性部分てんかんに対するオクスカルバゼピンのアドオン療法

背景

てんかんは、発作を起こす神経疾患である。ほとんどの人は、抗てんかん薬1剤でてんかんをコントロールできる。しかし、てんかんをコントロールするために複数の抗てんかん薬を必要とする人もおり、薬剤抵抗性てんかんと言われている。オクスカルバゼピンは抗てんかん薬で、以前の抗てんかん薬であるカルバマゼピンに近い。オクスカルバゼピンは、薬剤抵抗性てんかんの治療のために、他の抗てんかん薬と一緒にアドオン療法として服用できる。

レビューの目的

本レビューでは,薬剤抵抗性部分てんかん(脳の一領域に起因するてんかん)を有する患者が他の抗てんかん薬と併用した場合に、オクスカルバゼピンが忍容性があり有効であるか検討した。

結果

薬剤抵抗性部分てんかん患者に対するアドオン療法としてのオクスカルバゼピンを検討した6つの臨床試験を対象とした。研究全体では1,593人が参加しており、年齢は1ヶ月から65歳であった。

通常の抗てんかん薬に加えてオクスカルバゼピンを投与された人は、ほとんど効果がないとされる対照療法を受けている人に比べて、発作の頻度が50%以上減少した可能性が高かった。また、コントロール治療を受けている人に比べて、3倍近くの確率で発作に悩まされることはなかった。これらの所見はいずれも、オクスカルバゼピンが薬剤抵抗性部分てんかんの治療に有効であることを示唆している。しかし、これらの知見は、確実性の低いエビデンスに基づいている。つまり、報告された所見が正確であるかどうかは保証はない。

また、オクスカルバゼピンのアドオン療法を受けた人は、対照のアドオン療法を受けた人に比べて、試験から脱落する可能性が高く、めまいや眠気などの副作用を経験する可能性が高かった。治療中止のエビデンスは中程度の確実性であり、これはオクスカルバゼピンのアドオン療法が真の効果であるとかなり確信できることを意味する。

著者の結論

確実性の低いエビデンスのため、オカルバゼピンが薬剤抵抗性部分てんかん患者に効果的なアドオン療法であるとは断言できない。代わりに、治療を中止し、副作用を経験した人の数が増加しているため、オクスカルバゼピンの忍容性について懸念がある。

エビデンスは2018年9月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.03.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012433.pub2》

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