薬剤に関連した顎骨壊死(顎の骨の重篤な損傷)の管理における介入方法について

レビューの論点

薬剤に関連して生じる顎骨壊死を予防または治療するための介入方法は、異なる介入方法、あるいは非治療/プラセボ群と比較して、どのような効果があるのか。

背景

薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは、がんや骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)の治療に一般的に使用されている特定の薬剤の作用により、しばしば発生する顎の骨の重篤な損傷のことである。MRONJは痛みを伴う疾患であり、また治療が困難な場合がある。MRONJは、骨粗鬆症を治療するために薬剤を使用している場合に発生することはまれである。しかし、がんの治療に関連して、これらの薬剤を高い用量で投与されている場合では、MRONJ発生のリスクが高くなる傾向があり、最大で100人に5人の割合で発生すると報告されている。MRONJ発生のリスクを減らすための効果的な予防法を明らかにし、またMRONJに対するより良い治療法を見つけることは重要な課題となっている。

本レビューは、2017年に行われたレビューの更新版であり、2021年6月までに実施された文献の検索に基づいている。

研究特徴

Cochrane Oral Health(訳者注:口腔衛生を扱うコクラン・レビュー・グループ)の協力のもと、2021年6月までに発表された文献を検索した。結果、MRONJの予防に焦点を当てた5件の研究と、MRONJの治療法を検証した8件の研究が対象となった。これらの研究の対象者は、合計1668人の成人で、最も小規模な研究では13人、最も大規模な研究では700人であった。前立腺がんの男性に対しビスフォスフォネートの投与(静脈への点滴)を行っていた1件を除き、ほとんどの研究で対象者は女性だった。2件を除く他のすべての研究では、ビスフォスフォネートの投与(治療の補助のため、および骨折や骨の痛みのリスクを低減する目的で使用)を受けた患者のみが対象となっていたが、他のいくつかの薬剤でもMRONJを起こすことが知られている。2件の研究では、ビスフォスフォネートまたはデノスマブの投与を受けている患者が含まれていた。

主な結果 主な結果

1件の研究からは、がんの治療のためにビスフォスフォネートの静脈内投与を受けている患者において、3ヵ月ごとの歯科検診、および予防処置(抜歯前の抗菌剤投与や、骨の露出や汚染を避けるための創傷閉鎖)が、標準的なケアよりもMRONJ発症者数を減らすのに有効であるという、確実性の非常に低いエビデンスが示された。抗菌剤の使用と創傷閉鎖による予防処置を受けた患者では、MRONJの発症者が少なかった。これらの群では100人中2人がMRONJを発症したのに対し、対照群(標準的なケアのみを受けた患者)では100人中23人がMRONJを発症した。

他の介入方法においては、MRONJ発症のリスクを減少させる、またはMRONJの治癒を促進させると結論づけるために十分なエビデンスが得られなかった。

エビデンスの確実性

エビデンスの確実性は低い、または非常に低いと判定された。これは、研究の設計および実施方法に限界があったからである。例えば、途中で治療内容が変更された被検者がいたり、研究に必要な経過観察期間が終了していない被検者がいたり、また異なる観察時間で結果の判定が行われたりした研究があったためである。さらに、ほとんどの研究において、参加者数が少なかったことも影響している。

訳注: 

《実施組織》小泉悠 翻訳、杉山伸子 監訳[2022.08.10]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CDCD012432.pub3》

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