患者と医療従事者が意思決定を共有することは喘息患者を助けることができるか?

疑問の背景

喘息は成人と子どもによくある長期的な疾患である。喘息患者はしばしば喘鳴、咳嗽、呼吸困難を訴える。シェアード・ディシジョン・メイキングとは、喘息を持つ個人がケアに関する意思決定に完全に関与することを意味する。通常、患者と主治医や看護師が関与し、喘息を持つ人が自分自身にとって最善の決断をするために情報を共有することが主な特徴である。意思決定過程に喘息患者を含めることで、喘息がよりよく管理され、問題が少なくなることが期待されている。

レビューの疑問

喘息患者のシェアード・ディシジョン・メイキングについて、標準的な喘息ケアと比較してエビデンスを検討したいと考えた。また、異なる医療上の意思決定の方法に関してエビデンスを検討したいと考えた。シェアード・ディシジョン・メイキングが生活の質、喘息発作、患者のケアに対する満足度、喘息のコントロール、服薬計画の遵守望ましくない効果に影響を与えるかどうかを知りたいと考えた。

研究の特徴

私たちは2016年11月までのエビデンスをレビューした。この疑問に答えるために1,342人からなる4件の研究を見つけた。すべて喘息患者で、3件の研究の参加者は子どもで、1件の研究の参加者は成人であった。3件の研究は米国で行われ、1件の研究はオランダで行われ、研究は6か月間から2年間行われた。それぞれの研究は異なるシェアード・ディシジョン・メイキングの方法を用いた。例えば、対面式診察、通話、オンラインメッセージであった。

主要な結果

これらの研究は異なる方法で行われたので、それらの結果を統合することはできなかった。個々の研究からシェアード・ディシジョン・メイキングは生活の質や喘息管理を改善させ、喘息患者の診察の回数を減らすかも知れないとのエビデンスを見つけた。また、シェアード・ディシジョン・メイキングにより、なぜそうする必要があるのかをよりよく理解することで、喘息の吸入器をより定期的に服用することができるようになるかもしれない。このプロセスを経ることで、人々は選択をすることに力を得たように感じるかもしれないので、自分のケアにもっと満足していると感じるかもしれない。しかし、これらの知見はすべて異なる研究からの報告であり、ある研究は意思決定の共有の利点を示したが、他の研究では示さなかった。これらの研究のどれもが意思決定の共有が望まない副作用を起こすかどうかに関しては調べていないことは重要なことである。4件の研究はすべて、シェアード・ディシジョン・メイキングがどれだけうまく行われたか、あるいは受け取られたかを測定したが、これは異なる方法で行われた。

エビデンスの質

このレビューではエビデンスの質に大いに確信を持っているわけではなかった。対象となった研究が少数であり、研究デザインが異なることに懸念を抱いた。また、参加者は自分がどのグループに属しているかを知っていた(つまり、共同決定や標準的なケア)ため、このことが臨床試験中に喘息に関する質問にどのように答えたかに影響したのかもしれない。

まとめ

シェアード・ディシジョン・メイキングが喘息の人に役立つかもしれないというエビデンスもあるが、それが役に立つかどうかに関して確信が持てない。この疑問に答えるためには、将来的に、副作用、害、および利点を調査する、思春期の子どもたちを含む大規模な研究を実施することが必要である。

訳注: 

《実施組織》星 進悦 翻訳、阪野 正大 翻訳[2020.05.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012330.pub2》

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